全室冷房をすると電気代はいくらかかる?
この夜中まで暑い日は、リビングだけでなく寝室の冷房も必要です。快適な冷房をするには、やはり全室冷房が良いのです。
図4は、Q1.0住宅レベル3の高性能住宅で日射遮蔽をきちんとしていろいろなパターンで冷房負荷を計算したものです。注目していただきたいのは紫色の冷房必要期間4ヵ月の間、通風を中心に必要なときだけエアコンで全室冷房したときの冷房負荷です。
1GJ=278kWhですから、エアコンの効率4.0くらいで運転すると電気消費量は約70kWhになります。関西はやはり500kWh近くかかりますが、東北はその1/3以下で済むようです。最もこれは20年近く前の気象データですから、今年のような猛暑には2倍ぐらいかかると思います。
図5には近年では最も暑かった2010年(東北大震災の前年)の計算結果を示します。福島では何と231%にもなっています。内訳を見るとやはり夜まで暑い日が異常に増えたことによることが分かります。ちょうど今年の夏のようです。関西のような、本格的な全室冷房のシステムとしなくても、家全体を冷やすようにエアコンを1~2台設置して全室冷房をするのが良いと思います。電気代はそれほど高くはなりません。
北海道・東北の高断熱住宅はなぜ暑くなりやすいか
エアコンがあまり普及していない頃から、北海道・東北の住宅は、冬対策優先で、南の地域の住宅に比べて、暑さ対策は不十分でした。冬の日射を取り入れる大きな窓には、深い庇はつけないか、総2階建て住宅のように1階のリビングの大きな窓に全く庇のないことも当たり前にあります。庇として働く2階のバルコニーも、積雪地では雪が積もるのであまり設置しません。通風のための窓も、北の窓は、隙間風で寒くなるので設置せず、1面しか窓がない部屋でもあまり気にしません。このような住宅でも、本当に暑い期間は短いので、我慢して過ごしてきました。
このような住宅が高断熱になると、確かに猛烈に暑くなります。昔の家では通風のために夏の間、ほとんど開け放しにしていた、天井付近の欄間窓は、今の住宅にはありません。1階の小庇、面格子付きの引き違い小窓、やはり夏は開け放しだったのですが、今の住宅は横すべり出しの窓に変わりました。このような窓には防犯ストッパーが付いていないので、外出時や就寝時に、開け放しにはできません。閉め切って日射が大量に入ると、家の中の温度は40℃にもなってしまいます。内装建材の石膏ボードがこの温度になると中々温度が下がらず、家の暑さは夜まで続くのです。