オーダーメイドの家づくりで関心の高いキーワード「スキップフロア」。リプランの取材先でもよく見かける人気のプランのひとつで、「気になる!スキップフロアのメリット・デメリット」でもお伝えしたように、高低差を生かしたプランが特長です。
スキップフロアというと、階層を変えて小さなスペースが連なる、というイメージが強いかもしれませんが、段差のつくり方や高さはさまざまで、平屋とも意外と相性がいいのです。そんなスキップフロアの特徴がよく見える平屋の実例を、今回はいくつかご紹介しましょう。
高さと視点を変えて生まれる
隣り合わせのプライベート空間
天井高を生かして、中2階の書斎をつくったスキップフロアのプラン。背中合わせのキッチンとは距離的には近いですが、視線が合わないため、お互いにそれぞれの作業に集中できる環境が生まれています。開放的でありながら空間の役割をはっきり分けられるスキップフロアならではのプランニングの好例です。
「食べる」と「くつろぐ」の
メリハリをつくる
平屋では特に、ひとつながりでプランニングされやすいLDKの空間を、段差を使って緩やかに分け、リビングとダイニング・キッチンそれぞれの役割をはっきりさせることができるのも、スキップフロアの魅力です。
この写真は、ダイニング・キッチンから角度を変えてリビングを配置したスキップフロアのプランです。そもそも、土地の傾斜に沿うようにとデザインされたこの住まい。結果として、「食べる」と「くつろぐ」をスキップフロアで分けるプランになりました。役割が異なる2つの空間を緩やかに分けたことで、気持ちにもメリハリが生まれますね。
「働く」と「暮らす」を
ほどよい距離感で同居させる
家の中心に配置された土間は、その他の床面より1段下げたスキップフロアに。エントランスルームと名付けられたこの空間が、自宅で働く場所と暮らす場所をほどよい距離感で分けつつ、家全体の共有部分にもなっています。
このエントランスルームは、暮らす側ではリビングとして、働く側ではちょっとした打ち合わせ場所として使える「兼ねる空間」としてメリットを発揮しています。床面から1段下がっていることで、庭側の景色の見え方も変わるため、家の中での気分転換にもなるという点も◎です。
※この住まいは、住宅実例の記事でもご覧いただけます。
▶土間を境界にゆるやかに室内を区分 平屋土間の家
絶景をいろんな角度から堪能
雛壇のようなスキップフロア
床面の高低差を、絶景を楽しむために生かしたのがこの雛壇のようなスキップフロアです。雛壇といっても、ただ並列に高さを変えているのではないところがポイント。段差ごとに角度や床面の奥行きを違えることで、座る場所によって目線の高さも角度も変わるので、景色の見え方がまったく違うものに。平坦になりがちな空間が、劇場のように変わる刺激的なプランニングです。
スキップフロアじゃなくてもできる!
段差を使ったアイデア空間
スキップフロア、とはいかないまでも、床に段差をつけるだけで機能や役割を明確にし、空間の使い方が広がった、という例も。
例えばこちらの「ピットリビング」。床面と同じ高さにつくられた造作ソファがあり、家族や友人が自由に座ることができます。ピットリビングは、床レベルから1段下げてつくるリビングスペースのこと。天井までの高さが広がり、より開放的に感じられるというメリットもあります。床面の低さが逆に落ち着く空間を生むんですね。
その意味では小上がりにした「タタミコーナー」も、段差を使ったアイデアスペースです。タタミコーナーは、来客時や子育て時に便利ということもあり根強い人気ですが、あえて段差をつけて一段上にあげることで、収納を増やしたり腰掛け代わりに使ったりできます。スペースが限られる平屋ではうれしい機能です。
平面上だけで見ると限界を感じそうな平屋のプランも、スキップフロアや段差を取り入れることでグッと可能性が広がります。平屋に立体感をプラスするスキップフロアとの相性は抜群です。平屋をお考えの方は、スキップフロアを家づくりのアイデアとして取り入れてみてはいかがでしょうか?
(文/Replan編集部)
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