「全国運転マナーワーストランキング」というデータを見ると、北海道は全国でワースト6位だそう。スピードの出し過ぎや、ウインカーを使わないなど、運転が全体的に荒いという特徴があるようです。

北海道は土地が広くて道路も広いので、運転もおおらかになりそう…と思うのですが、広くてのびやかに運転できるせいで、行動が荒くなってしまうのでしょうか。加えて、車の密度が低くわりと自由に運転できるせいで、自由を阻害されることに不満を持ちやすいからか、北海道のドライバーはどこかしら「譲り合い」の精神に欠けているようです。

例えば、片側2車線道路の左1車線が工事で規制になっていて、明らかに右側の車線に入らないと前へ進めないという場合でも、右車線の人が左車線の人を入れようとしないといった光景をよく目にします。少しでも前へという気持ちはわかりますが、相手の責任ではない、車線変更せざるを得ない状況でそれを阻止するのは、やはり少しマナーから外れているように感じます。

そんな北海道での運転事情ですが、冬になるとマナーは一変します。雪が降ると、除雪がされていても細い道では雪山で車道の幅が狭くなる部分があり、車同士がすれ違えない場所もたくさんできてしまいます。結果、車は交互にちょっとした窪みに入って、反対側から来た車に道を譲らなければならないのですが、これがまあ譲る譲る。

反対側から車が来るのが見えたとたん、近くの窪みにスッと入って待機。対向車が来ようかどうしようか迷っているようならパッシングで「譲るよ」の合図。譲ってもらった人は、すれ違いざまに手を上げて頭をペコリとさげて挨拶。なんとも、爽やかな光景が繰り広げられるのです。

また、スタッドレスタイヤを履いていても雪が溜まった場所や凍った路面にタイヤをとられて、発進できない車がいたりすると、通りすがりの人や他の車のドライバーが駆け寄ってきて、押したり引いたりのレスキュー風景も見られます。

「必要に迫られて初めて周りを見ることができる」ということでしょうか。自分が困っていたり困難を実感すると、同じ困りごとを抱える人の気持ちが分かるように、譲り合わなければ通行できない場所では自然と「お互い様」の精神が顔を出すようです。夏にはまったく実感していない「協力して乗り越えなければならない問題」が冬になるとリアルな体感として人々の行動を変えていきます。

年明けから本気を出してきた冬将軍のおかげで、2月の札幌の街なかも雪の山だらけ。さっぽろ雪まつりのように道外、海外からの観光客の方もたくさん訪れるこの時期ですが、ふつうの道に形づくられた雪の壁や、そこで繰り広げられる親切のやりとりにも注目です。

(文/Replan編集部)