内装の素材や色によって、室内の印象はガラッと変わります。「やってはみたものの、やっぱり気に入らない!」といって簡単に取り替えられるものでもないので、家づくりで「内装」はけっこうな大きな悩みどころです。
そこで今回は、先日の「押さえておきたい!外壁や屋根にまつわる専門用語」に続いて、最近の家づくりでよく使われる内装材の種類について、それぞれの特徴や実際の使われ方の例も交えながら、いくつかご紹介しましょう。
■ビニールクロス
ビニールクロスは、ポリ塩化ビニルを主原料とする壁紙のこと。汚れに強くて施工がしやすく、リーズナブルな価格帯の商品が多いのも特徴です。今の家づくりで最も一般的な壁や天井の仕上げ材です。
色やデザインのバリエーションの多さも大きな魅力。塗装仕上げのようなシンプルなものから、ポップな可愛いものまで、さまざまな表情とデザインの違いが楽しめます。
■紙クロス
紙クロスは「壁紙」に「紙」という言葉が使われていることからも推察されるように、ビニールクロスよりも以前から内装の仕上げに使われてきた壁紙です。種類は施工性や耐久性を売りにしたリーズナブルな商品から、手漉きの和紙を用いるこだわりの仕上げ(こちらは素材代も含め高価になりがち)までさまざま。
最近はデザイン性の高い輸入壁紙を専門に扱うお店もあり、比較的デコラティブな内装に仕上げたい場合によく用いられます。部屋の壁4面のうちの1面だけを、気に入ったデザインの紙クロスで仕上げる「アクセントウォール」にするのもおすすめです。
■珪藻土(けいそうど)
植物性プランクトン(藻)が化石化した泥土のこと。主成分はガラスと同じケイ酸質で、表面に無数の超微細な孔が空いています。高い調湿性・断熱性があり、室内の空気清浄にも優れます。
塗り壁で、昔ながらの左官による仕上げとなるため、コテさばきによって表面にさまざまな模様を描ける素材のひとつです。また、珪藻土を混ぜ込んで壁紙状にした施工性の高い商品もあります。
■漆喰(しっくい)
塗り壁材の一種で、消石灰に糊、砂、繊維状のものなどを加え、水でよく練り合わせたもの。土壁や珪藻土と同じく、左官による仕上げとなるため、職人のコテさばきによる表情の違いが楽しめます。
珪藻土と同じように、ビニールクロスなどと比べて調湿性が高いほか、空気清浄作用も。かつてはお城や蔵の壁に用いられていたことからもわかるように、漆喰は防火性にも優れた壁材です。
■タイル
最近の家づくりではタイルを取り入れるのが定番化しつつあります。タイルに使われる素材はガラスや陶器、磁器をはじめ、天然石、木質素材、樹脂など実にさまざまで、使う場所や用途によってふさわしい素材を選べるのが大きな特徴のひとつです。
多種の素材や柄を組み合わせたモザイクタイルは、シート状になった商品もあるため施工性も高く人気があります。
■ガラスブロック
空洞のブロック状に成型加工した建築用ガラス。遮音や断熱効果があり、表面のパターンやガラスの透明度で、透ける光の強さや見通しの良さが異なります。ガラスブロックの形や表面の仕上げによっても表情が違い、カラーバリエーションもあるので、内装デザインの一部として取り入れたり、間仕切り壁や内壁の一部に使うことで、採光の役割を持たせたりすることもできます。
■合板(ごうはん)
薄く切った木材を乾燥させ、その繊維方向を互い違いにして接着させた木質建材の総称です。薄く切った単板をベニヤと呼ぶため、日本ではベニヤ板と呼ばれることもあります。
主に内装の下地として使われてきましたが、近年は仕上げ材としても注目され、シナ、ブナ、ラワン、カラマツなど、樹種による表情の違いを内装デザインに取り入れた例も見かけるようになりました。
無垢材(むくざい)
天然の木材のこと。木そのものの優しい風合いや経年変化、素材の香りなどを楽しむことができるのが特徴です。
家づくりに使われる素材としては一般的ですが、時間をかけて丁寧に自然乾燥させた無垢材の中には高価なものもあるので、用途や目的によりコストバランスを考えて取り入れるとよいでしょう。なお、天然の木そのものの材を無垢材と呼ぶ一方で、木を貼り合わせて成型された木材は「集成材」と呼ばれます。
内装材は今回紹介したものがすべてではありませんが、目指す空間づくりに必要なものが何なのかがわかると、理想の住まいがぐっと具体的になってくるはずです!選択肢を知ったうえでご予算と相談しながら、内装仕上げを検討してみてくださいね。
(文/Replan編集部)
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