断熱・気密化と真壁デザイン
断熱の構成は、屋根HGW16kg200㎜、外壁HGW24kg90㎜+GWB32kg45㎜、基礎は土間下全面と外周基礎にEPS100㎜、窓は木製サッシAr・Low-E・トリプル、一部PVCサッシLow-E・ペアという構成で、北海道での北方型住宅より基礎と窓が強化されている程度であるが、当時の秋田ではかなり高いレベルでした。今から思うと、壁は200㎜、屋根は300㎜くらいにしておけば良かったと思ってしまいますが、当時としてはとても大きな家でもあり、予算的にはその余裕は無かったと思います。基礎の土間下全面断熱に振り向けたというところでしょうか。住宅は長く使われ、社会的な状況が大きく変化する先を見通すことは中々できないものなのです。
木造躯体は集成材を金物工法で組み上げました。これも今では当たり前だが、当時は青森のプレカット工場が導入したばかりで珍しいもので、この集成材の柱梁を現しにして真壁デザインを実現するのが当時の私たちの一般的なデザインでした。105㎜の柱の外側に張った構造用合板を気密層として、90㎜のHGWを充填し、9.5㎜の石膏ボードを張ると、柱のチリが5.5㎜残り、ここにクロスを張ったり、珪藻土の塗り壁としたりします。部分的に木の羽目板などを組み合わせた和の趣の洋風インテリアは好評で、今も時々採用しています。こうしたチリの小さな真壁を「同面真壁」と私たちは呼んでいます。断熱材の厚さを確保しながら真壁をつくるのだが、しっかり真壁に見えるから不思議なものです。
外部の壁も何とか真壁で仕上げたいと考案したのが、下の図のようなH型の付け柱。岐阜県の東濃地域の人たちから依頼されて土壁の高断熱工法を考案した時の手法です。通気胴縁とモルタル代および付け柱(梁)部材をあらかじめ裏から接着剤と木ねじで組み上げておき、取り付けていきます。こうすることで釘頭の処理が不要で、経年の変形も防ぐことができます。この住宅では付け部材は2×4用の木材を使いましたが、耐久性を考慮した木材の選択ができると良いと思います。