みなさんは「玄関ポーチ」と聞いてすぐに、家のどの場所のことかピンと来ますか?玄関ポーチは、玄関ドアのすぐ外、いわば家の中と外の緩衝的な空間のこと。家づくりの中では、LDKや水まわり、外観デザインなどに比べると、注目されにくい部分かもしれませんが、北海道のように雪の多い地域では、ここのつくりが意外と重要だったりするんです。
北海道をはじめ本州でも雪が多い地域では、玄関ポーチの部分に「風除室」を設けているケースがけっこうあります。風除室は、簡単にいうと雪や外の冷気をシャットアウトするためのもの。築年数がそこそこ経っている家は特に、玄関ドアから冷気が入って来やすいので、屋内の断熱にも一役買います。
今はというと、断熱がしっかりできる玄関ドアを使いますし、家自体の断熱性能も高いので、Replanの取材先で風除室がある家はほとんど見ません。ただ、風除室ではないにせよ「雪が多い季節も、これなら使いやすいだろうな」と思う設計の玄関ポーチは、よく目にします。そこで今回はデザインはもちろん、機能的でもある玄関ポーチを実例写真から紐解いていきたいと思います。
軒の出が深く屋根がしっかりある
玄関ポーチは、使い勝手が◎
大雪の日などは「わんこそば」状態で、雪かきしたそばからどんどん雪が積もっていく雪国の冬。当然、雪かきをしなくてはならないし、その頻度もなかなかなものです。となるとまず、大雪でも雪かきせずに済むスペースが、玄関まわりに欲しくなります。軒の出が深くて屋根がしっかりあれば、多少雪が吹き込んだとしても、積もることはありません。
広くて屋根のある玄関ポーチは、雑然とした印象になりがちな「雪かきの道具」を、玄関先に立てかけておけるのも魅力。何ならアウトドアで遊んで雪に濡れたスキーやスノーボードなどを、帰宅後とりあえず立てかけて乾かしておくこともできます。
間柱やスリットの入った壁を設けた半プライベートな通路が、玄関ポーチを兼ねるという例も時々見られます。玄関まわりへの外からの視線をやんわり遮るとともに、風雪の吹き込みを和らげる効果が期待できます。広さが十分にあるので、半屋外の余剰空間としても活躍しそうですね。
ガレージと一体化させれば、
大雪でも濡れずに荷物が運べる
雪の日でも、あまり傘をささない北海道民。少し歩けば家に着く頃には、フードや肩、カバンに雪がけっこう積もりますが、玄関ポーチにスペースと屋根がしっかりあれば、降り続く雪を気にせず、積もった雪を払うことができます。
雪を避けられるという点で最強!と思うのは、ガレージと一体化した玄関ポーチ。玄関のすぐ外がガレージなら、雪や雨が降っていても、濡れることなく車と家の中を行き来できます。小さいお子さんを抱っこしながら、買い物帰りの荷物を運んだりするのにも便利ですね。
雪国暮らしにぴったりの玄関ポーチは、当然、雪国でなくても機能的。雨風が強い日にも役立ちますし、埃っぽくなって帰ったときには汚れを、花粉が飛ぶ時期には服に付いた花粉を払い落とす場所としても重宝します。プランニングの際には、玄関まわりの見た目のデザインとともに、その場所の使い方も一緒に考えてみると、よりよい形が見えてくるかもしれません。
(文/Replan編集部)
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