岩見沢市生涯学習センターいわなびで開催された、「障害のあるアスリート写真展-スポーツと人とをつなぎ、応援する-」へ。
この展示会は今年1月に道新DO-BOXで行われた展示会の巡回展で、10種の競技・10名の障害を持つアスリートを、Replan本誌でも撮影を依頼している佐々木育弥氏が撮影したもの。選手一人につき、ポートレート・競技道具・道具と共にある姿・障害を可視化した姿の4枚で構成される作品の合計40点が展示された。
「この展示に関わるまで、僕自身も障害のある人たちと触れ合ったことはなかったんです。このお話をもらって、どんな競技があるのか調べて動画なんかを見るうちに、純粋にカッコいい!と思ったんですよね。その気持ちを共有したい、たくさんの人に知ってもらいたい、という単純な衝動からはじまりました」と淡々とした口調で語る佐々木氏。
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アスリートたちの持つ障害と力の部分に焦点を当てるために、黒い背景を使い、衣装は黒い布を用意してモデルとポーズに合わせてその場で巻いていく手法を取った。アスリート持参の使い込まれた道具や、傷の露出した肌、発達した筋肉、強い眼差しが、漆黒の背景の中で輝く。
アスリートたちの個々の力や意志がフレームから染み出してくるような写真を見て、事前のコミュニケーションにかなり時間を使ったのではと聞いたところ、佐々木氏がモデルとなった人たちに会ったのは撮影当日だという。「初めて会って話してその場に流れる空気とか印象を大切にしたいと思ったんです」。
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「僕自身の心境として大きく変わったのは、障害のことを話してもいいんだと思うようになったことです。相手を知ることで自分が持っていたネガティヴな先入観が変化して、人との向き合い方が変わり、世界も広がりました。先天性の人もいるし、突然の事故で障害を持つことになる人もいるんだけれど、触れ合ってみると少しも特別な感じはしなくて、それぞれが自己を表現する魅力にあふれている。そんな姿に僕が影響を受けたように、自分の写真も、誰かの意識や行動を変えるきっかけになればと思っています」。
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この企画は現在、道内の別の会場や、道外での巡回展の話も出ているとのこと。この写真たちが数多くの会場で、数多くの人の目に触れることを願う。
IKUYASASAKI PHOTOGRAPHY
http://www.ikuyasasaki.com/
(文/Replan編集部)