誰でもQ1.0住宅をつくることができるために
本連載では、Q1.0住宅デザイン論としていろいろ述べてきましたが、ユーザーがこうした高性能住宅を建てたいと思ったとき、その依頼先になるハウスメーカーや工務店、設計事務所が必ずしも高性能な住宅をつくれるとは限りません。
私たちが高断熱・高気密住宅を提唱して以来、既に四半世紀が過ぎようとしていますが、その間に開発された高断熱に関する技術を習得してきている住宅の設計・施工の専門技術者はそれほど多いわけではないのです。
こうした業者の多くは、ユーザーに「高断熱住宅をつくれる」とはいうものの、実際に建った住宅の性能が不十分だったり、断熱材メーカーや住宅供給フランチャイズの言いなりで、とても高価な住宅になったりしている状況も多いようです。
私たちは、ローコストで快適・安心・健康に暮らすことができ、なおかつ省エネな住宅を目指して、技術開発を進めそれを公開してきました。ここで改めて最新の工法を紹介して、誰もがそのような住宅をつくる社会に向けて、技術者やユーザーに容易に取り組めるようにしていきたいと考えています。
有名な建築家でも、売れているハウスメーカーでも、また自分の町の工務店にしても、基本的な高断熱住宅の技術無しには、そのデザインは無意味化し、住宅の価値もなくなります。Q1.0住宅には程遠くなってしまうのです。