北海道に移住してきて驚いたことのひとつに、スーパーの品揃えが東京とはまるでちがう、ということがあります。
まず、野菜などは北海道産のものがとにかく多い。冬は道外産のものも増えますが、春~秋はその季節によって旬の道産野菜が種類豊富に並びます。
肉や魚も北海道産のものが多く、秋になると登場する「鮭のコーナー」は東京のスーパーでは想像できない鮭の展開っぷりで、切り身はもちろんのこと、半身やその半分くらいのブロックの身がごろごろ並び、生の筋子もメジャーな食材としてラインナップします。この筋子は各家庭で醤油漬けにするのが主流で、それを贅沢にご飯にかけて食べるのが道民の楽しみでもあります。
そんな中でも最も違いを感じるのが「お肉が4種類ある」ということ。東京のスーパーでお肉のコーナーに並ぶのは「牛」「豚」「鳥」の3種類。一方、北海道のスーパーでお肉のコーナーに並ぶのは「牛」「豚」「鳥」「羊」の4種類。
北海道のグルメといえば「ジンギスカン」は定番ですが、お店で食べるだけでなく家庭でもラム肉を日常的に食べる習慣があります。最近では一家に一台必ずジンギスカン鍋がある、とまでは言えないかもしれませんが、家でジンギスカンを食べることは普通のことですし、ラム肉で肉野菜炒めをつくることや、焼き肉のお肉のラインナップに生ラムがあることも普通のことです。冷凍庫に味付きのジンギスカンのパックを常備している、という家庭も多いのではないでしょうか。
地震で停電が起きた際に、電気が使えず冷凍庫でとけてきてしまうジンギスカンを庭先で焼いて食べた、という話が道外では驚きをもって報道されていましたが、道民にとってこれは普通のことです。
冬が長い北海道では、「屋外で飲食できる」ことの価値がことのほか高く、夏になると家庭でバーベキューを行うのが週末の楽しみ。自動的に、家庭でのバーベキューコンロや炭の保有率がすごく高いのです。それらを使って、冷凍庫にあったジンギスカンを焼くだけ、というのはどちらかというとインスタントなことなのです。
もちろん他の3種類のお肉も日常的に食べますし、いちばんたくさん食べるのが羊かというと、そうではありません。ただ、「お肉が3種類」の世界よりは「お肉が4種類」の世界のほうが、選択肢が多くて豊かな気がしませんか?
(文/Replan編集部)