無事に日本を発って一路ヘルシンキへ。飛行機の着陸からすべてがスムーズで、わずか1時間半くらいでオーナーの心優しきおじさまが待ち構える賃貸アパートに到着。念願のフィンランド生活がスタートしました。

フィンランドのアパートには、日本とは違う気になる点がたくさんあります。ヨーロッパでは当たり前のことかも知れませんが、僕にとってはとても新鮮でおもしろかったので、今回は僕がしばらくの間暮らす予定のアパートを紹介します。


初めて暮らすヘルシンキのアパートのお部屋について

僕が暮らすTÖÖLÖ(トーロ)は1952年のヘルシンキオリンピックのメイン会場となったオリンピックスタジアムがあったり、国会議事堂があったりとヘルシンキの中でもけっこう古いエリアです。

部屋は、18㎡の1R(シャワー・トイレ別)で北東に大きな窓がある家具・家電付き物件。ヘルシンキ中心地までトラムでわずか10分程度と好立地なことと、4月から2ヵ月限定でかなり格安の月700ユーロだったので貸主と直接契約をしました。Facebookの家探しグループでつながれたのがきっかけでした。

オーナーの話では、建物自体は最低でも60〜70年以上前の古い石造りの6階建て。部屋はリノベして綺麗になった状態で、家電もこれに合わせて新調してくれたとのことでした。ありがたや…。

フィンランドでは夏場は白夜やバケーションがあったりと長期滞在者が増えることもあって、Airbnbなどの民泊も活発になるため、夏場の賃料が値上がりになる場所もあるそう。

ちなみにこの物件の6月からの家賃は月1,000ユーロ以上になるとのことでした。Airbnbなら毎月1,500ユーロの収入になるので、そちらで回したいのが本音のようです。日本でも古い建物を自分でリノベーションをして賃貸で運用すれば、立地によっては個人でも全然収益性もありそうな気もします。

ヨーロッパ的な外観デザイン

対面の道が工事中すぎますが(!)、色分けされてて綺麗な外観
対面の道が工事中すぎますが(!)、色分けされてて綺麗な外観

アパートの外観はこのような感じ。これはフィンランドを含むヨーロッパの古いアパートメントではよく見られる形式の一つで、オーナーに聞いたところ、高さが同じ建物が横並びになっていて中では細かく分かれているそう。ニコニコしながら「見た目が整ってて綺麗だよね!」と教えてくれました。

アパートのエントランスのドアは、でかくて分厚い木製ドアです。

エントランスにはクラシカルで重厚なドア
エントランスにはクラシカルで重厚なドア
真鍮のドアハンドルもいい感じに経年変化しています
分厚さがよく分かるでしょうか。真鍮のドアハンドルもいい感じに経年変化しています

この年季の入ったドアの雰囲気がたまりません。そもそもの天井が高い(少なくとも日本のように2.4mとかではない)のでドアがデカくなるのは必然です。当然めっちゃ重たいです。でもお年寄りでも普通に開閉していました。たくましいです。

エントランスホールがすでに暖かい理由は?

重たいドアを開けると、ほんわかと暖かい館内。目に飛び込んできたのは、今まで見たことのないくらいデカい「ラジエーター」。これの効果で、エントランスの玄関ドアを開けても館内の暖かさが保てているようです。建物全体に温水を巡らせて全館暖房する仕組みだからこそ実現するのでしょう。

エントランスの玄関ドアを開けると館内はほんわか暖かい
エントランスの玄関ドアを開けると館内はほんわか暖かい
見たことないほど大きいラジエーターがこの共用空間を温めているよう
見たことないほど大きいラジエーターがこの共用空間を暖めているよう

そして部屋の前へ。入ろうと思うと「!?」。ドアノブがない!!どうやって開けるのかオーナーのおじさんにたずねると「鍵がドアノブ代わり」とのこと。なるほど。どのみち施錠するので、合理的といえば合理的です。

そもそも、日本とは玄関ドアの鍵の仕組みが違います。オートロックのような仕組みで、鍵を差し込んで回しながらドアを押し開けるイメージでしょうか。私は出張先でよく鍵を部屋においたまま外出してしまうタイプなので、「鍵を忘れないように気をつけなければ!」と強く思いました。

部屋の玄関ドア。フィンランドのみなさんは、鍵、室内に忘れないのでしょうか?
部屋の玄関ドア。フィンランドのみなさんは、鍵、室内に忘れないのでしょうか?

玄関ドアを開けると小さな玄関ホール兼廊下があって、左手方向にシャワー室とトイレがあります。いかにも海外のアパート、といった雰囲気が漂っています。

トイレの壁はタイル張り。玄関ドアの脇にはコートを掛けるフックが付いている

室内はコンパクトながら、住まいの工夫いろいろ

そしてこちらが僕がしばらくの間暮らす居室です。室内は、天井が高くて圧迫感が少ない印象。iPhoneの計測で測ると2.7m。日本の賃貸は2.4m程度なので、30cm×天井面積分の視界が広がって、圧迫感が少なく感じられるのかもしれません。

僕は一人暮らしですがベッドが2つ置いてあるので、右は夜の就寝用、左は昼間寝転ぶ用に使い分けています。

北海道の賃貸住宅と同じく二重窓で断熱しつつ、窓下のラジエーターで冷気を防ぐつくりになっています。また気密性が高くて窓が少ないためか、隙間風などはまったく感じません。

換気については、窓辺に1ヵ所だけ換気扇のようなものがありましたが、キッチンとトイレに換気扇がないので臭いがちょっと心配…。

1枚目の窓だけだととてもひんやりするけど、2枚目を閉めるとほとんど冷気を感じない
1枚目の窓だけだととてもひんやりするけど、2枚目を閉めるとほとんど冷気を感じない
これがおそらく部屋の換気扇
これがおそらく部屋の換気扇

昨晩は外気温が1℃程度でしたが、室内はとても快適でした。アパート自体が石造りなのもあるかもですが、札幌の家と変わりなく暖かかったです。若干乾燥気味(!)なおかげで洗濯物は一瞬で乾きました。

ちなみに洗濯スペースには、使うときだけ開いて干せる物干しアイテムが。確かに干す場所がないので、18㎡という狭い空間を有効に使うアイデアなんだなと思いました。

部屋の壁に取り付けられた白い長方形
部屋の壁に取り付けられた白い長方形
使うときだけ開いて洗濯物を干せる。便利
使うときだけ開いて洗濯物を干せる。便利

部屋の入り口側には壁付けのミニキッチンがあります。このシンク上の食器収納が水切りになっていて、めっちゃ便利です。洗ったあとにそこにお皿を置くことで乾燥と収納がまとめてでき、省スペースで機能的。掃除は必要ですが…。

コンロは熱源が電気。日本のIHとは違うタイプで、熱くなるまでに時間がかかるのがネックではありますが、パフォーマンスは変わらず料理は問題なくできています。全館暖房も電気が熱源の温水ラジエーターのため、ガスはまったく使っていないそうです。

部屋の入り口ドアと同じ高さのミニキッチン
部屋の入り口ドアと同じ高さのミニキッチン。キッチンの上の棚?に額装された写真が飾られているのもインテリアを大事にするフィンランドっぽい
水切りかごを兼ねた食器棚がとても便利で機能的
水切りかごを兼ねた食器棚がとても便利で機能的
ちょっと見慣れない電気式の2口コンロ
ちょっと見慣れない電気式の2口コンロ

ここは立地が良いですし、部屋の設備には申し分ありません。2ヵ月限定での賃貸契約ですが、可能ならずっとここに住みたいくらいです。ただ、エアコンはないし、石造りだし、夏場に気温が上がって駆体が熱くなったら冷めないなんてことも…?と考えると2ヵ月だけで十分な気もしてきます。

フィンランド人オーナーさんが丁寧で親切で感激!

余談になりますが、この物件のオーナーは本当に丁寧で親切でした。日本から来た私に、易しい英語で話しかけてくれ、掃除機の使い方までしっかりと教えてくれました。

「ええか、ここのボタンを押したら電源が入ってな、ほんでこの下のボタンを押したら、ほら見てみ!ターボモードでめっちゃ吸い込むねん!!たまったゴミを捨てるときはここ押すんやで!こういうときはゴミ箱の上でやったら汚れへんくて済むからな!!とりあえず一回やってみ!!」

ホンマにこのテンションでした。フィンランドの方の特性なのか、この人が特別なのかは分かりませんがとにかく親切で、めっちゃ安心できました。1時間くらいでしたが、いろんな話ができてよかったです。また会いたいなあ。

北海道のお土産を奥さんに渡したら、めっちゃ喜んだくれたみたいです。ええ人や…
北海道のお土産を奥さんに渡したら、めっちゃ喜んだくれたみたいです。ええ人や…