「NPO住宅110番」は、住宅雑誌Replanが長年にわたって育ててきたインターネット上の家づくりのための「世論の場」です。住まいの悩みに、住宅建築の最前線にいる専門家の皆さんが回答しています。この記事では同WEBサイトに寄せられた皆さんからの投稿・アドバイスを抜粋(一部修正)し、Replan誌面に掲載したものをさらに厳選してお届けします。
Q 擁壁から水がしみ出ています
質問者/兵庫県・なっちゃん
記事No.11385/カテゴリ:家の外まわり
現在購入を検討している中古住宅の擁壁に不安があり相談させていただきます。添付写真の様に水がしみ出しています。
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購入を検討している住宅は築19年で、この擁壁はそれ以前に作られているとのことです。奥の積石の擁壁は、県の分譲時に作られたそうです。
小学生の子どももおり、この物件自体は気に入っているのですが、この擁壁が気になり購入をためらっています。素人なため曖昧な質問の仕方で恐縮ですが、この擁壁の危険性についてアドバイスお願いいたします
A:回答者/1級建築士事務所(株)ATELIERO2 大杉 崇
擁壁の上にさらに敷地の有効活用をはかるうえで鉄筋コンクリート造のスラブがかかっている状態ですね。写真を見て建築ブロックの擁壁と上のコンクリートの床(スラブ)との関係が気になります。
- 間知ブロックの擁壁が初めに施工されており、その後(数年後)に敷地の有効活用をはかるうえで、鉄筋コンクリートの床(スラブ)が施工されたものなのか?その場合、間知ブロックと擁壁との関係をどのように考え施工されたのか?
- 敷地有効を図るうえで、床(スラブ)と擁壁が一体(同時期に)に施工されたのか?
上記1・2の場合ですが、いずれも擁壁と上部のコンクリートの床(スラブ)との関係を把握する必要があるように思えます。
間知ブロックの場合ですが、自重と擁壁を斜めにしていることで土の力を押さえつけている工法です。ですので、他の加重が加わった場合にどうなのかを検討する必要があります。
また水の圧力が加わると当然ながら不安定な状態に近づきます。ですので擁壁には水を排水するパイプが埋め込まれており、そこから排水され水圧を逃がします。写真を見ますとこのパイプの数が少ないかもしれませんね?
いずれにしましても、購入前には専門家に現地を見てもらって判断されることをお勧めいたします。
質問者より
ご回答ありがとうございます。勉強になります。
1のパターンで、間知ブロックの擁壁が最初に施工されその後、床(スラブ)が施工された模様です。床(スラブ)部分には水抜き穴がなく、床(スラブ)部分の水が床(スラブ)と間知ブロックの隙間からしみ出ているのと、床(スラブ)の床部分と立ち上げ部分の継ぎ目(本来隙間がない部分)から水がしみ出ています。水抜き穴がないということは、この床(スラブ)の方が間知ブロックより危険かもしれませんね。
慎重に検討しようかと思います。ありがとうございました。
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