250㎜級の外壁断熱工法
Q1.0住宅の高性能グラスウール(以下、HGW)200㎜級の外壁断熱工法は、この10年間、改良を重ねほぼ完成しましたが、北海道でもっと高性能な住宅を建てるには、250〜300㎜級の工法が必要になります。しかし、300㎜級に取り組んでいる新住協会員の工務店はまだ多くなく、工法的にも改良の余地があります。
この住宅はローコストということもあり、200㎜級外壁断熱工法に50㎜を追加する施工しやすい工法を試みました。具体的には、躯体の105㎜の外側に更に105㎜+50㎜で、合わせて260㎜の構成です(図-3)。一般的なHGWよりも更に性能の高い、旭ファイバーグラスのアクリアαというGWを使ったので、熱貫流率で300㎜級に匹敵する性能が得られています。
外装材には30×105㎜の道産カラマツの間柱用材を7㎜の隙間を設けて張っています。雨が隙間を通っても通気層で下に流します。木材は無加工なのでコストも安く、まったく塗装をしていません。厚い木材を外装材として無塗装で使うのはスイス流です。これで数十年の寿命があるといいます。塗装のメンテナンスも不要でとてもローコストな仕様なのです。
フラットルーフと桁上断熱
フラットルーフといっても屋根の水勾配は必要です。普通は勾配の小さな三角屋根になり、鉄板はその頂点で継ぎ目ができるのですが、この住宅は、屋根のかたちを円弧状にすることによって継ぎ目をなくし、一枚のカラー鋼板の縦ハゼ葺きを実現しました。母屋の高さを調節して垂木をしならせる工法です。小屋梁の上に合板を張り、その上にロール状の100㎜HGWを4枚重ねて400㎜にすることで、一般的なグラスウールのブローイング工法よりも1.5倍ほど性能は向上します。この屋根に雪止めをつけ、丈夫な雨樋でつららができるのを防止します。これで雪はほとんど動かず、屋根面をこすることもなくなるので屋根鋼板の寿命が延びます。
新しい基礎断熱工法
北海道でも普及して30年近い基礎断熱工法とは、基礎外周部だけ断熱を施し、床下地面は断熱しない工法ですが、これは床下地盤面の土にもかなりの断熱性能があるので不要という考え方からなのです。しかし、それは地盤の土が十分暖まったときの話で、Q1.0住宅のように暖房負荷の少ない住宅では、中々地盤が暖まらないうちに冬が終わってしまうようです。そこで、ヨーロッパの住宅のように床下地盤面も断熱する工法に切り替える必要が出てきました。
基礎のかたちは一般的には布基礎といって逆T字のかたちでつくります。そして、床下地面の上にコンクリートを打設するのですが、形状が複雑なので手間がかかり、基礎の外側から床下地面まですっぽりと断熱するのが案外難しいのです。これを、コの字(図-3)の単純な形状とし、断熱材を型枠代わりに使う工法を開発して試験施工を行いました。これは既に商品化され採用可能になっています。