窓の断熱向上が家のカタチを変える
ガラスやサッシは技術革新により、ここ10年ほどで急速に進化してきました。従来は国産のものは断熱性能が低いと散々ネタにされてきたのですが、現在では高性能なフル樹脂や木のサッシが容易に入手できるようになってきました。製品に表示されている「省エネ建材等級」では、窓全体の熱貫流率(Uw)が2.33W/㎡Kであれば最高等級の4つ星になってしまいます。しかし十分な断熱性を得ようと思ったら、Uwは温暖地でも2.0以下、寒冷地なら1.0程度の窓を使いたいものです。
窓の断熱で先行するドイツでは、Uwが1.3よりも大きな窓は断熱性が悪すぎるとして販売できません。すると高性能な窓が一気に普及し数も増え、大量生産で価格も下がる「好循環」が起きます。今では窓の7割以上がUw1.0以下となっているそうです。
ドイツの伝統は窓の熱ロスを抑える「ポツ窓(独立的にポツンとつけられた窓のこと)」です。それが高断熱でリーズナブルな窓が大量に入手できるようになったことで、暖房エネルギーを抑えつつ大開口を有する、明るく快適な空間が可能となりました(図12)。高性能な窓は住宅のカタチを変えるのです。
窓の開き方も大きく変わる
サッシやガラスの材料としての進歩も大事ですが、窓は「開き方」も大事なポイントです。日本では「とりあえず引き違い」になりがちですが、実際は窓にはたくさんの開き方があります(図13)。
引き違いは機能的には無難ですが隙間が多くなりがちで、断熱・気密の性能は低くなります。最近増えてきている「縦すべり出し」は開け閉めが容易であり、閉める時に引き付けてロックする機構により隙間が塞がれるので高気密です。もちろん可動部分がないフィックス窓が断熱・気密の面では最高です。動く必要がない部分をフィックスとすることで、コストを下げつつ耐久性を確保することが可能です。
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