「ソファ」と「ラグ」は切っても切れない関係性です。最近は掃除のしやすさなどを理由に、ソファの足元にラグを敷かない家もありますが、ソファに座ったときに足裏にラグの感触があると気持ちがよく、空間全体の印象も変わります。
そこで今回はインテリアコーディネーターの本間純子さんに、ソファに合ったラグ選びのポイントを教えていただきましょう。
ソファが「ラグのサイズ」を決める
先日の記事では、住まいでよく使われるカーペット・じゅうたん、ラグ、マットの違いや素材について解説しましたが、「ラグ(エリアラグ)」はソファとセットで考えることで、空間のコーディネートがしやすくなります。
ラグを選ぶときに迷ったり、失敗したりしやすいのが「サイズ選び」です。さまざまな大きさのラグが売られていますが、成功のカギは「ソファのサイズ」。ソファの大きさがラグのサイズを決めるのです。
ソファとラグの最適な組み合わせ方とは?
ソファとラグの組み合わせ方には、いくつかの選択肢があります。ここでは、市販のラグでよくあるいくつかのサイズについて、ソファとの組み合わせ例をご紹介します。
1 140×200㎝のラグの場合
ラグはソファの前に敷くことが多いですが、ソファの幅よりもラグが小さいと、見た目のバランスが悪くなります。ソファよりもラグが少し大きいくらいで、ソファの前側の脚がラグに乗ると、空間としてバランス良く見えます。ソファの重さでラグが押さえられて、ラグがずれにくくなるというメリットもあります。
140×200㎝のラグは、8〜10帖のリビングに合わせやすいサイズ。2人掛けソファの前に敷くと見た目のバランスがちょうどいいです。ただしローテーブルを囲んで床に座るとなると、ラグの面積は狭めです。
同じサイズのラグを3人掛けのソファに合わせると、ソファよりもやや小さくなります。2人掛けソファの場合と比べると、少し見た目のバランスに欠けるかもしれません。
2 160×230㎝のラグの場合
160×230㎝サイズのラグは、3人掛けソファにぴったりのサイズ。ソファよりも少し幅が広く、ソファの前側の脚がラグの上にしっかりと乗ります。ラグがこのくらい大きいとローテーブルの周囲の余白が大きくて、ラグの上にゆとりを持って座れます。
またこのサイズのラグの場合は、3人掛けソファと1人掛けソファを組み合わせたレイアウトもしっくりと収まります。ソファのエリアを主張しすぎず、空間にフィットします。
3 240×340㎝のラグの場合
240×340㎝のサイズのラグとなると、一般的なリビングの床だとかなりの面積を占めることになります。この場合は、ソファをラグに載せてバランスをとります。
幅が340㎝あると、3人掛けソファを1台置くだけだと、ラグにかなりの余白が生まれます。下の図のように3人掛けソファ+1人掛けソファ+サイドテーブルをレイアウトすると、ソファの位置が明確になり、LDK空間全体にメリハリが生まれます。
幼いお子さんがいたり、ラグの上で気軽に寝転がりたかったりする場合は、1人掛けソファやサイドテーブルを置かず、スペースを空けておいてもいいですね。
円形や楕円形、不定形なラグの上手な使い方とは?
ラグは「長方形」が一般的ですが、インテリアに少し変化がほしいときの選択肢として、円形や楕円形などのバリエーションもあります。
ソファのフォルムが直線的な場合は、長方形や正方形のラグがコーディネートしやすいですが、ソファの座や背が丸みを帯びていたり、小ぶりなソファや一人掛けソファを複数個用いる場合などは、円形や楕円、不定形などを用いると、空間のおしゃれさや楽しさが演出できます。
下図は、直径150㎝の円形のラグに2人掛けソファと1人掛けソファを組み合わせたレイアウト例。こうした変化のある家具レイアウトを楽しめるのが、オーソドックスな長方形以外のラグを使う魅力です。
なお、形もサイズもソファや空間にしっくり来ない場合は、オーダーする方法もあります。特に置きたいソファのサイズが大きい場合、
- 中敷用では大き過ぎるし、一般的なラグでは小さ過ぎる
- 長方形の長辺だけを少し長くしたい
など、ソファや空間の収まりに合わせて調整ができます。少し割高で、納期も長めに必要ですが、好みの素材や色を選べるのもメリットです。こうして選んだオリジナルラグは使っていて気持ちが良く、メンテナンスにも力が入るので、結果として長いおつき合いになるでしょう。
失敗しないために!ラグ選び・購入は
「ソファの位置が確定してから」がおすすめ
ラグは、ソファと一緒に購入したくなりますが、ソファの位置が確定してからの方が失敗しにくいです。というのも、「『ソファはこの位置』と図面上で想定し、家が完成していざ置いてみたら、収まりがよろしくない…」ということがあるからです。
- ソファに腰掛けたときに見える風景がイメージと違う
- ソファが動線と重なって邪魔…
- LDKで見たときに、なんとなく空間のバランスが悪い
など理由はさまざまです。しっかりと収まる良い場所があるはずなので、まずはソファを少しずつ動かしながら探して、位置を見つけましょう。
ソファの置き場所が決まったら、そのスペースに合ったサイズや形のラグを探します。ソファの寸法や空間にフィットするであろうラグの大きさも、だいたいで良いので測って店頭へ足を運びましょう。3〜5m程度のストッパー付きの巻き尺が2つあると、寸法が取りやすく便利です。数字はメモをし、ラグの色柄のイメージとすり合わせるためにソファやセンターテーブルの写真も撮影しておきます。
ソファ選びでサイズと一緒に考えたい
パイル(紡糸・毛足)の種類と特徴
「パイル(紡糸)」とはベースとなる生地に結びつけた糸。「毛足」と言ったほうがなじみがあるかもしれませんね。
カーペットやラグといった敷物は表面がこの「パイル」で覆われていて、仕上げ方法によって見た目のデザインはもちろん、風合いや耐久性、弾力性、掃除のしやすさなどの違いが生まれます。
1 ループパイル
糸が輪の状態になったパイル。弾力性があって、しっかりした感触です。1つのループが粒のように見え、この粒が大きくて密なほど強い弾力性が出て、華やかな印象を与えます。反対に粒が小さくて打ち込みが少ないと弾力性が乏しく、カジュアルな印象になります。
2 カットパイル
パイルの長さによって、下図のように分類されます。
名称 | パイル長 |
ブラッシュ | 0.5〜1㎝ |
サキソニー | 1.5㎝ |
ハードツイスト | 2〜3㎝ |
シャギー | 3.5〜10㎝ |
パイル長は短いほど繊細な柄を描きやすく、長いほどパイルの表情や質感が強調されます。カットパイルはやわらかくて肌触りが良く、エレガントな雰囲気になりますが、「シャギー」で毛足が長めだと掃除機がかけにくい(パイルを巻き込みやすい)という側面もあります。耐久性はループパイルのほうが優れています。
メンテナンス性を重視したい幼いお子さんやペットがいるご家庭では、デザイン性には少し目をつむって、洗ったり取り替えたりしやすいループパイル仕上げのタイルカーペットを採用するのも一案ですね。
届いたラグの取り扱いについて
ラグが届いたらできるだけ早く平らな床に広げ、巻きぐせを直します。端が波打っている場合は、つまづきの原因とならないように、敷き方を工夫します。時間が経つとフラットになりますので、しばらく見守りましょう。
メンテナンス方法は、素材や染色方法によって異なるため、お店の方の説明や取扱説明書に従ってください。大きなラグを丸ごと洗うのはとても難しいです。小さな汚れを放置しないことが、より長く気持ちよく使う秘訣です。
ソファのサイズやデザインに合ったラグを選ぶことで、リビングのインテリア性はワンランクアップします。使い勝手や心地よさの面も考慮しながら、あなたのリビングにぴったりのラグを選んでくださいね。