耐震&省エネリフォーム 断熱と太陽光発電後載せも
専門家に診断してもらった上で、耐震性能を向上させるためのリフォーム工事が必要となるかもしれません。耐震化のためには、地盤や基礎を強化する、地震に耐える壁量を増やす、部材が抜けないよう金物で緊結する、屋根を軽くするなど、さまざまな対策を施す必要があり、足場を組んで内装や外装を外す、大がかりな工事になります。
言い換えると、耐震リフォーム工事は家全体を直す絶好のチャンス。併せて断熱や太陽光発電パネルの後載せまでセットで行うのがおススメです。日本建築防災協会も、「耐震と省エネ」を同時に行うリフォームを推奨しています(図6)。
断熱材や太陽光発電パネルの追加は建物重量を若干増加させますが、それを考慮して耐震性能を強化しておけばまったく問題ありません。耐震改修・断熱改修・太陽光発電パネルの後載せは、3点セットで行うのが一番効率的でオトク。新築にも負けない住宅性能を確保することが可能なのです。
耐震&省エネ改修の実際
耐震と省エネ改修をセットで行うリフォーム工事の様子を見てみましょう(図7)。
昔の住宅は、石の上に束が載っただけで、地震の際に簡単に脱落してしまう「独立基礎」が一般的です。床下に土壌が露出しているため、水分により部材も痛みがちです。また、壁材をはがしてみると断熱材が劣化して役に立たなくなっている場合が少なくありません。リフォームにおいては現状を把握して、耐震・断熱について問題のある個所を適切に強化していく必要があります。
耐震化の基本は足元から。地盤が軟弱な場合は杭打ちや地盤改良を行ったうえで、頑丈な鉄筋コンクリートの基礎を施工します。ベタ基礎にする場合は、気密の確保が容易な基礎断熱にすることも可能です。傷んだ木材は交換し、地震時に大きな水平力がかかった際に、柱や梁・土台・筋交いが抜けないよう、金物でしっかり緊結します。
続いて、断熱における最大の弱点である窓には内窓を設置。壁は外装材を一度外した後、柱の間に新しい断熱材をギッチリ詰めたうえで、耐震ボードで再度フタをして釘を規定の間隔で打ち付けます。断熱強化のためだけに壁を開けるのは高くつきますが、耐震リフォームの際に同時に行えば、耐震・断熱の両方を低コストで改善でき、まさに一石二鳥です。
最後の仕上げは、太陽光発電パネルの後載せ。耐震改修では屋根の葺き替えを行うことが多いので、同時に太陽光発電パネルの設置もセットで行えば、防水や耐震についても安心です。
今回は、能登半島地震を受けて、日本の住宅における耐震性能の実際を確認してきました。地震がいつどこで起きるのかを予想することは、残念ながら不可能です。国民の生命を守るために、多くの住宅で耐震リフォームを普及させる必要があります。
そして耐震強化と併せ、断熱強化や太陽光発電パネルを後載せする省エネリフォームを同時に行うことで、いざというときに命を守り、普段は快適で健康・安心に暮らすことが可能となります。ご自宅の性能に不安がある人は、ぜひ耐震&省エネリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
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