「NPO住宅110番」は、住宅雑誌Replanが長年にわたって育ててきたインターネット上の家づくりのための「世論の場」です。住まいの悩みに、住宅建築の最前線にいる専門家のみなさんが回答しています。この記事では同WEBサイトに寄せられた皆さんからの投稿・アドバイスを抜粋（一部修正）しReplan誌面に掲載したものをさらに厳選してお届けします。
Q ホームインスペクションの費用を工務店に請求する事は可能か？
質問者／東京都・housemty
記事No.16913／カテゴリ：工事ミス・トラブル
現在戸建ての注文住宅を建設中です。内覧会を行った際100ヵ所近く気になる点があったためご相談です。
●外観／窓のサッシに凹みあり。サイディングの欠け・汚れ、水道管の色が指定したものと異なる、照明に汚れあり。基礎に欠けあり。
●内装／上り框に傷多数あり。玄関ドアに大きな傷（凹み）あり。玄関の枠のビスが一つも留まっていない。お風呂場ドアのビスが一つも留まっていない。洗濯機水栓が図面と異なる場所に取り付けられている。リビングのダウンライトの位置がすべて電気配線図と異なる場所に取り付けられている。階段の壁に誤って穴を開けてしまったがその上からクロスが貼られているのみの状態。クロスの切り忘れ、隙間、やぶれあり。
そもそも洗面台や可動棚やキッチンがまだ取り付けられていない状態で、なぜこの様な段階で内覧会を行ったのか疑問しかありません。再内覧会を行う予定ですが、目視できるだけでもこの様な状態なので、目に見えない構造や配管配線に何か不具合がないか心配です。
明らかに不具合が多い様に見えますがこの様な場合にホームインスペクションを入れた場合、それにかかる費用を工務店に請求する事は可能でしょうか？
経緯としては、11月末完工＆引き渡しを約束とし工事請負契約を結びましたが、着工・上棟が一般的な期日より遅れている事が気がかりで何度も現場監督・営業に確認しましたが、毎回11月末引き渡しは確約という話でした（2度の台風の後も同じ説明）。
現地確認に行った際、まだキッチンもクロスも電気工事も終わっておらずやっと階段に取り掛かった所でした。流石に間に合わないだろうと思い営業担当に連絡した所、うちは内装は1週間で終わらせます。という返答が…。突貫工事になる事は避けたかったので営業と現場監督にとにかく時間をかけてもいいので突貫工事だけはやめてほしいと説得すると、確実に綺麗に仕上がるのはこの日と言われ内覧会をしたにも関わらず、この様な状況でした。
引き渡しが伸びた為、日曜からはホテル生活です。これまでにも窓の位置が図面と違ったり、打ち合わせでは聞いていない梁が天井にいくつも出ていたり…様々な事があったため工務店の事をまったく信用出来なくなってしまいました。どなたかアドバイス頂けると幸いです。
A：回答者／一級建築士事務所（株）北工房 代表取締役 栃木 渡
ホームインスペクションはあくまでも「非破壊検査」ですから、基本的には「目に見えないこと」は分かりません。まず、その点、過剰な期待をされないように。その上で、あなた様がご自身で選ばれたインスペクターに依頼して、その費用請求は工務店にされる事も可能ではありますし、私自身の経験からも、そのようにしていただき、実際に支払いが行われたケースも何度もあります。
工務店によっては「素人に痛くない腹を探られ、訳の分からない交渉で長引くよりはプロの目で見て是々非々としてほしい」と考える場合もあります。必ず「事前に」第三者の目を入れていいかの承諾と支払いに関しての承諾を貰ってください。
ポイントは「事前に」「あなた様が選ばれたインスペクターを」「信頼すること」かと思います。インスペクターのスキルも色々なので、経験値の多い方が一般的には安心ですね。
また、インスペクターの仕事として「チェックはできます」が、実際に工務店との交渉は弁護士法違反になるので、できません。結果を受けて、あなた様ご自身が行わなければなりません。もしも交渉の場に立会を求め、技術的裏付けというか、立証をお望みでしたら、これはやはり「あなた様ご自身の費用負担」で依頼された方が、スッキリしますね。
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