仕事柄、ときどき書店のインテリアコーナーに行くことがある。その種類と数には驚かされる。それぞれの雑誌ごとに特集が組まれているが、中でも多いのが収納や整理に関するもの、さらに「断捨離」など使われなくなった不用品の処分を勧める、かつてなかった新語まで生まれている。

日本人は世界で最も物を多く所有する民族である。食器類を例に見ると、和・洋・中華料理の食器が一般家庭に存在する。そのため家庭内に物があふれ、整理・整頓ができず混乱を来たしている。

未来を考えたとき、あらゆるメーカーは安易な新作主義に陥ることなく、開発に時間をかけ、本当に良い製品・ロングライフなものを生産すべきであろう。また、販売する側も大量発注・大量仕入れでコストダウンを図る考え方を見直す必要があるのではないだろうか。購入する側も、自分にとって本当に必要な物なのか、この先長く使い続けられるのかが問われる時代だ。そうした考え方が循環型社会につながるのだ。かつてのような右肩上がりの経済成長は地球温暖化や環境汚染を生み出す。

一方、最近物を買わない、持たないという身軽な暮らし方、ミニマリストと呼ばれる人たちも少しずつ増えている。いずれにしてもあふれる物に起因しているように思われる。かく言う私も研究資料など数万点とともに暮らしている。しかし私の家には衣・食・住においてファスト製品は一切ない。物は多いが混乱を来たさない物の在り方のルールを決めている。

ルールその一。美しくデザインされた物は、その作品がより美しく映えるようステージを設ける。キャビネットの上には一点か二点までしか置かないこと。

ルールその二。物は次に使われるときのために常に整え、スタンバイの状態にしておくこと。例えば膝掛けは使ったらもとのように畳み、その上にクッションを置く。本は背と手前をそろえ、下に大きな本、上に小さな本を重ね、一定期間で読み終えたあと、地下の書庫へ収納。この二つのルールは目に触れる場所に存在する場合だ。

ルールその三。美しくデザインされたものでも外に出しておくべきではない物、例えばテーブルウェアやカトラリー類は引き出しの中にシリーズごとに整理してしまうこと。

ルールその四。出しておくと見苦しい物はカテゴリー別に引き出しに隠す。例えば薬類やレシート、ステーショナリー、大工道具などがこれに当たる。概略すれば、見せる、スタンバイの状態におく、しまう、隠すという四つのルールで部屋の中が整えられていることである。これにより混乱は防げるのだ。

今回紹介するのは、イタリアのデザイナー、ジョエ・コロンボがデザインしたものだ。このワゴンは二段と三段のユニットで構成されたものがあり、多様な物を収納でき、ほかに類を見ない多機能なワゴンである。キャスターで移動できるため、四面のどこからでも収納できる。1970年に販売されて以来、半世紀以上のロングセラー作品である。これ一台あれば身の回りの物の整理にはかなり役立つ。部屋の乱れは心の乱れの表れでもある。

多機能ワゴンの代名詞。キャスター付きの本体を回転させることで側面4面すべてを効率的に使える、デザイン性と機能性に優れた収納家具である
多機能ワゴンの代名詞。キャスター付きの本体を回転させることで側面4面すべてを効率的に使える、デザイン性と機能性に優れた収納家具である
BOBY WAGONのカラーバリエーションの一部
上左:レッド、上右:ブラック、下左:ベルディグリ、下右:ハニー
1段2トレイから4段8トレイまで、サイズも豊富。2段タイプは、ベッドサイドやデスク下・脇にぴったり
1段2トレイから4段8トレイまで、サイズも豊富。2段タイプは、ベッドサイドやデスク下・脇にぴったり

■BOBY WAGON
ブランド:B-LINE(ビーライン)
サイズ/全体:W43×D42×H52.5㎝
    トレイ内寸:W25.5×D29.7㎝
    トレイ深さ:小トレイ4㎝ / 大トレイ7㎝
素材/本体:ABS樹脂
   キャスター:ポリプロピレン
カラー:ホワイト、ブラック、レッド、トルネードグレー、ハニー、ベルディグリ、クミン
価格:52,800〜58,300円(税込)(2段3トレイ)

<問い合わせ先>
MAARKET(マーケット)
https://maarket.jp/products/detail/876