北海道のローコスト分譲住宅とニセコのロッジ群
実例はいろいろあるのですが、その中で最もコンパクトな住宅を紹介したいと思います。北海道伊達市の郊外に、10年以上前に建てられた建物価格1000万円の建売住宅です(図-5・6)。
元々はこの敷地を含む大きな敷地に計画されたRC造の賃貸住宅を私たちが木造タウンハウスとして計画し直しましたが、計画が中止になり、タウンハウスではなく一戸建てとして5棟建設しました。2.5間×6間の総2階建て住宅、延床30坪で一部吹き抜けになっています。
ローコストのため、熱性能は省エネ基準レベルですが、南の大きな窓の下には床下暖房のガラリが設けられ、窓のダウンドラフト(冷気流)を防いでいます。内装は、天井懐を設けず梁を現しにし、階高を抑え、2階の行き来を容易にしています。これが、コストダウンに大きく効いています。
この住宅が、外国人が増え始めたニセコの開発企業の目にとまり、その後ニセコにスキーロッジとして10数棟建設されました。
総2階建て住宅のプロトタイプ
私たちは、今Q1.0住宅に取り組んでいます。住宅の基本性能としての耐震性や省エネ性能を高め、安心・快適・健康に暮らせる家をローコストにつくることがその目的です。デザイン的にも美しく、内部空間も豊かに、そして可変性に富み、狭くても一生暮らせ、将来売るときは高く売れる100年住宅ができるようになりました。こうした条件を備えたプロトタイププランをこれから開発していくことが急務と考えています。