前代未聞の省エネ補助?
残念ながら、日本では住宅の省エネ化への取り組みはひどく遅れています。特に、既存住宅における断熱性能の著しい不足は、冬の寒さと暖房費増大の主因ですが、これまで効果的な対策が打たれてきませんでした。それが2023年になって、急に図3に示す大規模な3つの補助政策が打ち出され、大きな話題になっています。
住宅省エネ2023キャンペーン
https://jutaku-shoene2023.mlit.go.jp
一番の注目は窓リノベ
まず1つ目の「こどもエコすまい支援事業」は、主に新築の省エネ住宅の購入を補助するものですが、断熱などの省エネ改修にも利用できます。特に注目なのが、2つ目の「先進的窓リノベ事業」。住宅において断熱の最大の弱点である窓の高断熱化を、非常に手厚く補助するものになっています。3つ目の「給湯省エネ事業」は、住宅で一番エネルギーを消費する給湯機の省エネ型の導入を補助するものです。断熱最大の弱点である「窓」、エネルギー消費最大の設備である「給湯」に特化した今回の補助政策。国も住宅の断熱と省エネに本腰を入れたものとして、大いに期待できるものです。
窓リノベで新築以上の 断熱性能を確保!
従来、日本の窓の断熱性能は「世界最低」と言われても仕方ない、極めて低レベルなものでした。窓の断熱性能は熱貫流率(Uw)で表され、値が小さいほど高断熱です(図4)。
日本の現状の窓ラベルは、最上級の4つ星でも2.3止まりですが、断熱先進国のドイツでは1.3以上の窓はそもそも禁止。欧米のみならず韓国・中国と比べても、日本の窓の断熱レベルの低さは際立っていました。
さすがにこの低性能は放置できないと、経産省は今年度より新しい窓ラベルを導入する予定です。新窓ラベルでは最上位Uw1.1以下の6つ星まで用意しており、日本の窓の高断熱化につながることが期待されています。
今回の「先進的窓リノベ事業」で補助金をもらうには、窓の性能を新4つ星に相当するAグレード以上とするのが必須です。新5つ星のSグレード・新6つ星のSSグレードなら、さらに補助額が増えるようになっています。従来の新築すらも大きく超える、高断熱窓への改修を強く後押しするものになっており、国の本気を感じられる補助制度といえるでしょう。