エネルギーを賢く使うことが大事になってきたこの時代。リプランでは、ガス・電気・石油の各社に、それぞれのエネルギーの今とこれから、そして燃費のいい暮らしを支える最新設備についてお聞きしました。今回は、「石油連盟」の難波 隆さんに石油(灯油)のことについてお話しいただきます。
道民にとっては、灯油による暖房はなじみ深いものですよね
最近の原油価格の動きはどうでしょうか
私たちの暮らしに身近な原油は、国際情勢と密接に関わり、日本の経済にも大きな影響を与えており、国では補助金制度を通して価格抑制を図っているところです。
脱炭素社会に向けての石油業界の動きを教えてください
灯油のCO2排出係数は0.244(2023年1月時点)です。都市ガスの0.180、LPガスの0.213と比べても、それほど高いわけではありません。石油連盟は、工場や事業所でのCO2の排出量の実質ゼロを目指すだけではなく、供給する石油製品の低炭素化を目指し、合成燃料など革新的技術開発・実用化に向けてチャレンジを進めております。
しかし、北海道の冬の暖を守るために灯油が担うものはまだ多いのも事実。石油連盟はこれからも安定供給と脱炭素化の両立に、真摯に取り組んでいきます。
燃費のいい暮らしのためのアドバイスをお願いします
灯油をエネルギーとする暖房・給湯ボイラーに、排熱を有効活用する省エネ機器「エコフィール」があります。灯油のエネルギーのほとんどをお湯に替えるため、温水式床暖房やパネルヒーターを採用した場合、ランニングコストがぐんとお得になります。機器はコンパクトで、壁掛けも床置きもできます。給湯・暖房一体型もありますので、用途や間取りに合わせて選択いただけます。
また、北海道の暮らしになじみ深いFF式ストーブは空間の邪魔にならない薄型が主流になり、排熱を利用した床暖房を備える機種もあります。これらの機器は定期的なメンテナンスを行い、正常な燃焼状態を保つことで、効率の良い燃料消費でより長く使うことができます。
エコフィールにはほかにどんなメリットがありますか
従来の灯油ボイラーと比べ10%以上熱効率を高めたことで、灯油の使用量を節約でき、その分CO2の排出量も削減。年間でスギの木約18本が1年に吸収するCO2と同じ量を削減できます。そして最大燃焼時でも49dB以下で、低騒音なので早朝・深夜でも気兼ねなく使用できます。
もしもの時のことについてお話しください
2018年の北海道胆振東部地震による大規模停電で、ポータブルの灯油ストーブが防災用品として注目を集め、2年分の販売台数がわずか2ヵ月で売り切れました。灯油は持ち運びがしやすく、備蓄もできる頼りになるエネルギーです。また、灯油を用いる暖房・給湯の機器類は、少ない電力で稼働します。可動式の太陽光発電パネルやポータブルバッテリーも備えておくと、万が一の時に役立てることができます。
ところで皆さんは、万が一の備えとして蓄えた灯油はどこに保管していますか? ポリタンクの灯油は紫外線によって劣化しやすいので冷暗所で保管し、秋から冬口、春先の補助暖房として、備蓄している灯油をシーズンごとに使い切ってください。
▼こちらも併せてご覧ください
・住まいのエネルギー【都市ガス編】
・住まいのエネルギー【LPガス編】
・住まいのエネルギー【電気編】
3月28日(火)発売の最新号「Replan北海道vol.140」の巻頭特集は「燃費のいい暮らし」。暮らしのエネルギーが気になる今だからこそ、自分と家族が求める「燃費」のことを知って、家づくりを一歩先に進めてみませんか?
Replan北海道 vol.140
2023年3月28日(火)発売北海道内の主な書店やコンビニのほか、
Replanの販売ページやamazon、Fujisan等
オンラインでもご購入いただけます。