ダイニングテーブルは長方形がオーソドックスで、リプランの取材先でも最も多く目にしますが、コミュニケーションのしやすさの点から見ると、長方形以外の形のダイニングテーブルのメリットも見えてきます。
前回の記事「家具選びの参考に。「ダイニングセットの寸法」の基本」ではインテリアコーディネーターの本間純子さんに、主に寸法についてお話しいただきましたが、今回は四角形以外のダイニングテーブルの天板の形や、サイズ感について教えてもらいましょう。
会話が弾みやすい「丸(円形)テーブル」
ダイニングテーブルはスタンダードな形状の長方形のほかに、円形、楕円、異形などバリエーションがあります。長方形のテーブルは「空間の収まりがいい」「壁付けしやすい」などの利点がありますが、「コミュニケーションの取りやすさ」では丸テーブルに軍配が上がります。
人は真正面に向き合うとお互いに緊張しやすく、はす向かいだと緊張が和らぎ、会話が弾むことが知られています。人の表情や仕草が程よく見える丸テーブルは、どの人とも適度な角度を保てて、心を開きやすいと考えられます。
ダイニングに丸テーブルを用いるときの注意点は「サイズ感」です。一般に丸テーブルは、長方形テーブルよりも広いスペースを必要とします。イスを引いたときのスペースまで考慮し、図面に書き込んだり、空間にスケールを置くなどして大きさをしっかり把握しましょう。
4人掛け用としては、φ120cmのテーブルが多く使われます。少し大きめがいいかなと思ってφ140cmにすると、予想以上に大きくて驚くかもしれません。直径ではたった20cmの差ですが、 面積にするとこれは約0.4 ㎡=半畳弱もの差。家具屋さんなどで実物を見て判断したいところです。
不規則さが面白さ。「樽型・楕円形テーブル」「異形テーブル」
長方形の大きなテーブルの場合、長辺側に3人以上並ぶと会話が遠くて、話しづらさを感じることはありませんか? その場合、長辺側が少し膨らむ樽型や、楕円形の天板にすると、同じ側の人の様子がなんとなくわかり、和やかな雰囲気になります。少し相手が見えることが、ラウンドした形の強みです。
卵型や三角形、おむすび型などの異形のテーブルは、座る位置によって人と人との距離や見える角度が変わる面白さが魅力です。近い距離で座ると深い話がしやすいですし、離れていると個々のやりたいことに集中しやすいので、状況に合わせて座り方を変えられて家庭内で使うのに意外と重宝するかもしれません。
サイズが変えられて便利な「エクステンションテーブル」
天板の形状も重要ですが、友人や家族を招くなど、大人数で食事をする機会が多い家では、エクステンション(伸張式)テーブルにするという選択肢もあります。主に天板を左右に引いて、中央に補助天板を挟んで使うエクステンションテーブルと、天板を跳ね上げるバタフライテーブルの2つのパターンがよく用いられます。
普段はコンパクトサイズで使い、食事会や作業など必要なときだけ天板を広くできる柔軟さが魅力ですが、中にはテーブル面の継ぎ目が気になる方もいるかもしれません…。
エクステンションテーブルを考える際には必ず、天板サイズを最大にしたときを想定して、家具のレイアウトを検討します。コンパクトサイズで配置すると、いざ伸張したときにスペースが窮屈で、ダイニングチェアが置けない事態になってしまうこともあるので要注意です。
ダイニングは食事を取るだけでなく、食事のマナーを身につけたり、家族がコミュニケーションをとったりする大切な空間です。特に共働き家庭が増えた今は、家族団らんの場所がリビングからダイニングへ移っている傾向も見られます。ダイニングの広さや形、ライフスタイルなどに合わせて、最もふさわしいダイニングテーブルを見つけてくださいね。
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・家具選びの参考に。「ダイニングセットの寸法」の基本