ステイホームをより楽しく、心豊かに過ごすため、室内に自然環境をとり込み、お部屋に彩りを添えるインテリアグリーンをとり入れたいという声が、よく聞かれるようになりました。新築や引っ越し、お部屋の模様替えを機に、緑のある暮らしを始めたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、札幌エリアで4店舗を展開するFlower Space Gravelの代表取締役、植物のプロである松田真也さんに、緑のある暮らしを実現するために知っておきたい植物の選び方や育て方、室内環境についてお話しいただきます。


ライフスタイルや室内環境に適した植物を暮らしの友に

2020年の春ごろから、私たちの店舗にも初めてのグリーンを求めるお客様がたくさん訪れるようになりました。その多くの方が最初に店頭で目を留められるのが、雑誌などでよく見かけるシルクジャスミンやオリーブ、トネリコなど、繊細な雰囲気のグリーンです。しかし、こうした植物は初心者には管理が難しく、枯らしてしまうケースも少なくありません。

初めてのグリーンを枯らさず、元気に育てるカギとなるのが、品種選びです。仕事などで留守がちで、冬の室内が10℃以下になる。そうしたお宅の場合は、基本的に寒さに弱い植物は向きません。忙しくあまり手をかけられない方には、葉が肉厚なゴムの木系、フィカス系などをお勧めしています。これらはとても丈夫で、樹形がバラエティーに富み、お部屋のインテリアのポイントにもなりやすい植物です。植物を選ぶ際に、日ごろのライフスタイルに適した植物を選ぶことが、緑のある生活を実現する近道といえるかもしれません。

初心者でも育てやすいツピタンサス
丈夫で育てやすいフィカス・ウンベラータ

 

誰もが育てやすいのは昔からある品種

植物を選ぶ際には、室内環境との相性も大切です。例えば、陽当たりの良い部屋なら、日光が好きなガジュマル、パキラ、サンスベリア。逆に、たっぷりの陽射しが望めない場所なら、耐陰性のあるモンステラやポトス、ワイヤープランツなどがお勧めです。このほか、どんな環境でも適応しやすいアイビー、ペペロミア、フィカス・ウンベラータ、カポックなども、初心者向きの植物。いずれも、光の多少にかかわらず、風通しを良くして管理することで健康に育ちます。複数の品種を一つの鉢に寄せ植えする場合は、好む環境が同じものを合わせることも、上手に育てるポイントです。

こうした植物は、昔から家庭や施設の緑として長く愛されてきたものばかりです。ロングセラーであり続ける理由も、育てやすさにあるといっていいでしょう。私たちが最近、手がけることが増えたオフィスのグリーン空間も、こうした昔ながらの耐陰性のある品種を中心にコーディネートしています。

観葉植物として長く愛されているドラセナ・コンパクタ

みずみずしい緑色の葉が美しいパキラ

 

気難しい観葉植物も環境次第でご機嫌に

乾燥や日光不足に弱いデリケートな植物も、好む環境が整えば、育てられないことはありません。近年大人気のオリーブの木もその一つ。強い西日を好み、本州では露地で大きく育つ木です。北海道でも午後からの陽射しがたっぷり入る場所が住まいの中にあれば、育てることは不可能でありません。

日陰に強いモンステラ
赤い葉が華やかなドラセナ・コンシンネ・レインボー

また、繊細な緑が美しいシダ類はオリーブの木とは真逆に日陰の湿潤な環境を好みます。バスルームや洗面所など、日照が少ない場所で管理し、霧吹きで小まめに葉水を与えることで、みずみずしい緑を保つことができます。耐陰性のある木の足元に植えるのもいいでしょう。

ピーエス株式会社北海道支店のオフィスに併設の「PSマダガスカル」

シダ類に大切なのは日照よりも、湿度管理。私たちがメンテナンスしているピーエス株式会社のPSマダガスカルで、さまざまな種類のシダ類が大きく、生き生きと育っているのも、徹底した湿度管理があってこそ。PSマダガスカルの室内環境、空気感は、シダ類を自宅で育ててみたいという方の最良のお手本になるでしょう。

緑の健康に必要なのは温度と水分のこまめな管理

北海道の長い冬は、室内暮らしの植物にとっても試練の季節です。暖房のオンオフで生じる室温や湿度の急激な変化。どちらも、植物にとっては大きなストレスになります。一般に観葉植物を育てるのに適した温度は15℃以上といわれていますが、室温が高ければいいというわけではありません。むしろ、暖房を15〜20℃程度の低い温度で設定し、変えないことが大切。また暖房の温風、床暖に直接当たる場所に植物を置くのは、乾燥や傷みの原因になりますのでご注意を。

カールした葉が魅力的なクロトンカール
葉の広がりが美しいボストンファーン

一部例外はありますが、多くの植物は乾燥が苦手です。冬は空気が乾燥しやすいため、湿度管理にも十分に気を配りましょう。加湿器などで室内の湿度を50%前後に保ち、熱帯雨林をイメージしながら、霧吹きで葉や幹に水分を補ってください。

私たちのお店や先に挙げたPSマダガスカルでも、植物が喜ぶ室内環境を体感できます。緑と暮らす第一歩として、まずはその心地よさを体感してみるのもいいかもしれませんね。


札幌市内にあるFlower Space Gravel本店は、平日でも多くのお客さんで賑わう