こだわり抜いたオリジナリティのあるデザインが実現できるのは、注文住宅ならではの魅力。それは室内空間だけではなく、外観も同じです。そこで今回は外観デザインの印象を決める次の6種類の外壁材について、実例写真とともに説明します。

  1. ガルバリウム鋼板
  2. サイディング
  3. モルタル塗り壁
  4. タイル
  5. コンクリート

1. 木 〜素材感が何よりの魅力

木ならでは素材感や温もり感が、木外壁の最大の魅力。樹種や色、板の幅や張り方によってさまざまな表情が演出できますし、同じ材でも仕上げ方次第で印象がガラリと変わります。また、年月とともに劣化したり汚れたりして、古びた印象になってしまう建材もありますが、年月の分だけ素材の味わいや魅力が増すのも、木の外壁材ならではです。

道南スギを縦に張った片流れ屋根の平屋。カーポートも木で造作した、統一感のあるデザイン
直線的なフォルムが印象的なカラマツ横張りの外観。無公害木材保護保持剤「ウッドロングエコ」を塗装している
直線的なフォルムが印象的なカラマツ横張りの外壁
カラマツの外壁に、無公害木材保護保持剤「ウッドロングエコ」を塗装

一方で木は、一般的な窯業系サイディングと比べると価格は割高。天然素材なので、美しく経年変化させていくためには、定期的なメンテナンスも必要です。

また防火地域や準防火地域に指定されているエリアでは、使用が制限される場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

木製パネルを白く塗装し、カリフォルニア風に仕上げた外観。外構と庭も外観の雰囲気に合わせた
木製パネルを白く塗装し、カリフォルニア風に仕上げた外観。外構と庭も外観の雰囲気に合わせた
道南スギ板張りの外観は、新築から数年経ち、雨風が当たる部分だけが鈍色に変化した
道南スギ板張りの外壁は、新築から数年経ち、雨風が当たる部分だけが鈍色に変化している

2. ガルバリウム鋼板 〜外観をスタイリッシュに仕上げる

ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛の合金メッキ鋼板の建材です。

  • 耐久性(錆びにくい、ひび割れしにくい、25〜30年は持つ)
  • 耐食性(腐りにくい)
  • 断熱性(窯業系サイディングやモルタル外壁などと比べて断熱性に優れる ※断熱材一体型の場合)
  • 作業性(軽くて張り替えがしやすい)
  • カバー工法ができる(既存の外壁材の上に被せて施工できる)
  • メンテナンス性(汚れがつきにくく、汚れても落としやすい)

に優れているのが特徴で、外装材として使用されることが多い仕上げ材です。

黒いガルバリウム鋼板のボックスを重ねたような外観とシャープなコンクリート塀の組み合わせが目を引く
黒いガルバリウム鋼板のボックスを重ねたような外観とシャープなコンクリート塀の組み合わせが目を引く

スタイリッシュなデザインに仕上げられるのも魅力。住宅では黒やグレー、白のモノトーンが多いですが、実はカラーバリエーションが豊富で、幅も細いものから太いものまでさまざまです。

木や石やレンガ、タイルなどと比べると建材としての歴史は浅いですが、とはいえ初登場から約30年が経過。安全性と信頼性は確立されていて、今や定番で人気のある外壁材です。

ネイビーとグレー、縦張りと横張りの組み合わせで立体感を持たせた平屋
紅柄色に塗装したガルバリウム鋼板の外観。新築から16年経っても鮮やかなまま
紅柄色に塗装したガルバリウム鋼板の外壁。新築から16年経っても色は鮮やかなまま

白のガルバリウム鋼板を採用した立体的な形状の外観
同じガルバリウム鋼板でも、幅の狭い小波板張りにすると柔らかい印象に

3. サイディング 〜価格を抑えつつ好みの外観に

サイディングは、「サイディングボード」とも呼ばれるパネル型の外壁材です。ベースの素材は、窯業系・金属系・樹脂系・木質系などの種類があります。モルタル仕上げと重さを比べると、窯業系サイディングは2分の1以下、金属系サイディングは約10分の1と建材自体が軽く、建物への負荷を軽減します。

タイル調の窯業系サイディングで仕上げた外観
白を基調に、石目調や木目調など表情の異なる窯業系サイディングを組み合わせて、個性を演出

工場での大量生産で品質が安定していて、ほかの素材と比べて安価なのも普及の大きな理由。パネル型なので施工性が高く、工期の短縮によって工事費用を抑えられるメリットがあります。木目調やタイル調、レンガ調など、色やデザインの種類も豊富です。

デメリットは、耐用年数の短さでしょうか。防水性能を備える表面の塗膜の寿命が10年弱と短いので、長く良い状態を保つためには、日頃のチェックと早めのメンテナンスが欠かせません。

ピッチの広い白の金属サイディングの外観に、エントランスの木がアクセントとなっている
幅の広い白の金属サイディングの外壁に、エントランスの木がアクセントとなっている
耐久年数が長い塩ビの樹脂サイディングを採用した住まい。樹脂サイディングは日本では採用が少ないが、アメリカやカナダでは普及している建材

4. モルタル塗り仕上げ 〜高機能で多様な表現ができる

セメントに水と砂を混ぜて練り合わせた「モルタル」は不燃性の素材で、外壁材・下地材・内装仕上げ材などとして、建築において幅広く使われています。配合次第でどんな色もつくれて、カラーバリエーションはほぼ無限。塗り方で模様も変えられるので、オリジナリティのある外観デザインが実現できます。

真鍮で等間隔にラインを入れたモルタル仕上げの外壁
深い味わいの茶色の外壁。半円を描くようにパターンを付ける扇仕上げが美しい

パネル型や板状の外装材と違って表現の自由度が高いのは大きなメリットです。ただし左官職人さんの手による施工なので、確かな技術力が必要。また左官材を乾かす時間を含め作業には時間がかかり、ほかの建材と比べて一般的に費用は割高です。

また素材の性質から約15年に1回塗り直しが必要で、メンテナンス費用もほかの建材より割高になるケースがあります。

1階部分の茶色と2階部分のレッドシダーが効いている白の塗り壁
モルタル外壁の上に、塗料と砂を混合して吹き付けるジョリパット仕上げは、外壁の耐久性が高めてくれる
モルタルの上に砂と混ぜた塗料を吹き付けるジョリパット仕上げは、外壁の耐久性を高めてくれる

5. タイル 〜メンテナンスフリーで高級感も演出

外観に重厚感や高級感を与えるタイルの外壁は、素朴な風合いのものから凝ったデザインのものまでバリエーションが豊富です。タイルは天然資源からつくられた無機質材で「劣化しない」のが最大の特徴。汚れも付きにくく、新築時の姿を長く美しく保てるのも大きなメリットでしょう。

RC造の躯体の外壁をタイルで仕上げた、高い耐久性にこだわった住まい

一般的に木やサイディング、ガルバリウム鋼板と比べてコストは割高ですが、タイル自体は耐久性が高く、基本的にメンテナンスフリー。傷みにくく汚れにくい面を考えると、メンテナンスの内容や頻度の面でのメリットは大。下地やタイルの目地は劣化しますが、それは比較的安価に直せるので、長期的なランニングコストは抑えることができます。

乾式タイルを張った高級感のある外壁。メンテナンスの負担が少なく経済的
乾式タイルを張って仕上げた高級感のある外壁。メンテナンスの負担が少なく経済的
タイルを2色使いしたメンテナンスフリーの外壁と三角の小屋根が印象的な外観
タイルを2色使いしたメンテナンスフリーの外壁と三角の小屋根が目を引く外観

6. コンクリート 〜高い強度と独特な素材感が魅力

コンクリートは、セメントに水・砂・砂利を調合し、混ぜ合わせた材料。砂利が入っていてセメントの比率が高いため、より強度が高くてヒビ割れが起こりづらいというのがモルタル塗り壁との大きな違いです。型枠にコンクリートを流し込んで外壁を形成するため、ほぼどんな形でも施工できるのがコンクリート外壁の特徴です。

緩やかな曲線を生かした意匠とざらりとした表面の仕上げが目を引く壁式RC造の平屋
緩やかな曲線を生かした意匠と、ざらりとした表面の仕上げが印象的な壁式RC造の平屋

一体成型でつくられるコンクリート外壁は、木造と違って隙間ができないので気密性が非常に高いです。また30~50年の耐久性があるので、木やガルバリウム鋼板、サイディングよりメンテナンスの頻度も少なくて済みます。

ただ、業者によって施工の精度にバラつきが出るリスクは高く、コンクリートがしっかり固まらないと次の工事ができないため、他の外壁材と比べて工期が長くなる点は注意が必要です。

コンクリートならではのクールな質感で人気のコンクリート打ち放し
シャープなラインがひときわ目を引く3階建てRC住宅。外壁は内外ともに断熱塗装を施し、そのほかはコンクリート打ちっぱなし仕上げとなっている
シャープなラインがひときわ目を引く3階建てRC住宅。外壁は内外ともに断熱塗装を施して断熱性を高めている


インテリアと同じように、外観も住み心地や家への愛着を決める大切な要素。同時に常に紫外線や風雨など外の環境にさらされながら住まいを守るという大事な機能も果たしています。

のちのち後悔しないためにもそれぞれの素材の特性をきちんと把握し、デザイン性とともに機能性や耐久性、メンテナンス性まで考えて、慎重に選ぶことをおすすめします。

(文/Replan編集部)