コートハウスというと、なんとなくコの字型のレイアウトを想像しませんか?でも実は、コートハウスっていろいろなバリエーションが考えられるんです。そこで今日はReplan本誌で紹介してきた、ちょっと個性的なコートハウスをお見せしたいと思います。
曲面が生み出す心地よい居場所
円を3方から凹ませたような平面形状の中庭のあるこの家もコートハウス。一見奇抜にも見えるこのカタチには、キチンとした理由があります。この家には、中庭と同じカタチで大きさの異なる間仕切り壁が点在していて、それらがつくる凹状のスペースは、それぞれが一つの居場所になっています。
間取りは、日照や気温、空気の流れを手がかりに、場所ごとに快適な室温が得られるよう考えられていて、その急激な温度変化を和らげるのは、曲面の壁からの安定した輻射です。中庭や壁に沿って流れる空気のように、季節や時間、その時々の気分によって自由に移動し、心地よい居場所を見つけて暮らす家なのです。
中庭越しに空を見上げれば、近隣の建物は視界に入らず、柔らかな曲線で空だけを切り取ってくれます。曲線が描く景色は、見た目にも安定した落ち着きをもたらしてくれているようです。
透け感のあるカーテンに包まれた半円テラス
「つながっているようで、つながっていない空間」。この曖昧な要望をかたちにするため、建築家は室内のスペースを「開いた空間」と「閉じた空間」の2つに分類。水まわりや寝室、収納スペースなどの「閉じた空間」の余白部分をLDKやフリースペースなどの「開かれた空間」として配置しました。そして、柔らかな境界線をつくりだすために壁は曲線で仕上げています。
曲線を描く壁の一部はテラスに面した外壁です。半円状の平面をもつ小さなテラスは、外観に個性的な表情を与え、高さと透け感のあるカーテンで仕切ることで、「なるべくカーテンをつけずに暮らしたい」という希望を見事に実現しています。そこで過ごすことだけを目的とした場所ではなく、光と風を室内に導く役割も果たしています。
こんなふうにコートハウスのかたちは、どんな家にしたいかによってさまざまに変化します。住宅密集地でプライベートな庭や空が欲しい、という場合にうってつけのコートハウス。ぜひ、自分たちらしいコートハウスのかたちを、探り当ててくださいね。
(文/Replan編集部)
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