新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、「健康で安全な暮らしを守る」という住まいの機能への関心も高まっています。そこで今回は、健康に関わる住まいの守りや備えとして家づくりで考えておきたい4つのポイントをまとめました。
1.「間取りの工夫」で、感染症対策
リプランで取材していて実感する、コロナ禍にあって最も大きな間取りの変化。それは玄関の近くに洗面スペースを設ける家が増えたことです。「手洗い」は感染症予防に効果的で、生活習慣としても定着しつつありますが、玄関の近くに手洗い場があることで、帰宅後にスムーズに手が洗えて、安心感を持てます。
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帰宅後の手洗いのしやすさはコロナ対策としてだけでなく、長い目で見てインフルエンザや風邪などの予防や家の衛生管理に役立ちます。ただそれにとらわれすぎて、他の部分で使いにくさが出てしまっては本末転倒です。玄関にアルコール除菌液などを常備して使うなど、感染症を予防するための方策は他にもありますし、暮らし方の工夫でも対応できますので、家全体としてのバランスや暮らしの優先順位も考えながらプランニングすることが重要です。
2.「高い住宅性能」で、ヒートショック対策
全国的に高断熱・高気密仕様の住宅が普及しつつありますが、外気温の影響をダイレクトに受けやすい昔の家に比べて、断熱・気密性能の高い住宅は室内の温熱環境を安定させやすいという特徴があります。
家の中で起きる事故による年間の死亡者数はおよそ15,000人で、これは交通事故による年間死亡者数の約4倍ともいわれます。中でも屋内の寒さに起因する事故の多くは「ヒートショック」によって引き起こされています。
「ヒートショック」とは、温度変化によって身体に急激な寒冷ストレスがかかり、脳や心臓付近の血管が詰まったり破れたりすること。家の中においては、暖かい部屋にいて身体が温まった状態で真冬の冷えた脱衣室へ行って服を脱いだり、浴室へ入ったりすることなどが引き金になります。これを防ぐためには「家の中全体が暖かい」ことが重要で、断熱・気密性が高く外気温の影響を受けにくい住宅が、ヒートショックのリスク低減につながります。
なお、高性能住宅の施工には専門知識に裏付けられた高い技術力や経験が要求されます。家づくりの会社選びの際には、その会社が採用している工法やこれまでの取り組み、施工実績にも注目して、技術力の確かな会社を慎重に見極めて選ぶことが肝心です。
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3.「計画換気」で、感染症やアレルギー対策
高断熱・高気密住宅で必ずセットで考えなくてはいけないのが、「計画換気」です。2003年7月の建築基準法の改正以降、住宅にはシックハウス対策の観点から原則として24時間換気システムの設置が義務付けられています。
「24時間換気扇を回し続けるのはもったいない」などとスイッチを切ってしまう人もいますが、気密性能が高い今の住宅でそれをすると、日常的に人やペットから排出される二酸化炭素や建材や家具などから出る汚染物質、臭いなどが室内に留まり、健康に害や悪影響を与えかねません。
また換気がうまくできていないと、高性能住宅であっても結露が発生して、やがてカビによるアレルギーの原因にもなります。感染症対策はもちろん、良好な空気環境を保って、自分やご家族の健康を守るために、家づくりでは換気計画にも注目したいところです。
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4. 「バリアフリー化」で、長い目で見た暮らしやすさに配慮
家庭内で起きる事故として「ヒートショック」の他に多いのが、転倒や転落です。あえて段差をつくることで慎重さを促したり、筋力の衰えを防いだりするという考え方もありますが、高齢になって身体に不自由な部分が出てきても安心して快適に住み続けられるよう、住まいをバリアフリー化しておくことも家づくりの選択肢のひとつです。
住まいのバリアフリー化の方法としては、
- 家の中の段差をなくす
- 玄関や通路、トイレや水まわりを広めに確保する
- 建具は引き戸にする
- 寝室とトイレの行き来をしやすい間取りにする
- 手すりを付ける(将来手すりを付けられるよう、あらかじめ下地を入れておく)
- 階段不要の平屋を検討する
などがあります。プランニングの段階からバリアフリー化についての希望を設計者に伝え、敷地条件や費用などと折り合いをつけながら、将来に備えましょう。
人生の長い時間を過ごす家は、住まい手の心身の健康にも大きな影響を及ぼします。家のデザインやインテリアのテイスト、収納や間取りにこだわると同時に、体感としての心地よさや空気環境、動きやすさや安全性など、家のさまざまな面に注目して、身体も心も元気でいられる住まいを検討してくださいね。
(文/Replan編集部)
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