「形いろいろ、理由さまざま。平屋の見た目Part.1」の続きで、今回も個性的な外観の平屋を4事例ご紹介します。一見すると不思議な見た目の住まい。そこに表現された形の理由を紐解いていきましょう。
大きな窓から自然を取り込み
強い風から家族を守る。
弓形で細長い家
緑豊かな南西面に大きく開き、春から夏にかけて特に強く吹きつける冷たい風を防ぐために北東面はできる限り閉じる。ご家族のライフスタイルや立地条件を踏まえて見出されたのが、弓形のデッキテラスのある細長い平屋のデザインでした。弓形は、景色の見え方や住空間の使い方を考慮した結果として導き出されたもの。公私の空間をしっかりゾーニングした間取りと家全体をつなぐデッキが、家族みんなが心地よく暮らせる住まいを形づくっています。
■ 家族構成/夫婦30代、子ども2人
■ 延床面積/191.24㎡(約57坪)(車庫含む)
設計/(株)蟻塚学建築設計事務所 <Replan東北 vol.62>
アイヌ民族の家「チセ」を
モチーフにした
自由な間取りの住まい
ご夫妻の家づくりの願いは、北海道の豊かな自然の中で、家族が仲良くのびのびと暮らせること。その舞台としてデザインされたのは、建築地に縁が深いアイヌ民族の家「チセ」をモチーフにした平屋でした。外壁は道産トドマツ板張り。大きな梁が四方からのびるリビング・ダイニングを、キッチンや水まわり、寝室や子ども室がぐるりと囲む間取りが、ライフスタイルや居場所づくりの自由度を高め、変化を楽しむ感性を育んでいます。
■ 家族構成/夫婦30代・40代、子ども2人
■ 延床面積/107.23㎡(約32坪)(風除室含む)
設計/アトリエサノ <Replan北海道 vol.116>
家の主役は、畑と庭。
自然に寄り添う暮らしを
考えた結果の平屋の形
畑や庭という身近な自然に寄り添う暮らしを叶えるために、「畑、庭の余りが建物」という発想で設計された壁式RC造の平屋。ダイナミックにカーブを描く軒を庭の方へ張り出すことで、内と外との境界を曖昧にし、暮らしの場としての一体感を持たせています。外とシームレスにつながるような感覚が、アクティブなご夫妻の日常をさらに活性化。除雪のしやすさまで配慮された理想的な暮らしの場ができました。
■ 家族構成/夫婦70代
■ 延床面積/142.78㎡(約43坪)(カーポート含む)
設計/荒内要建築設計事務所 <Replan青森 vol.7>
要望はシンプルな
「家型」のデザイン。
素材が個性を引き立たせる
「四角い平面と三角屋根を組み合わせた、いわゆる『家型』で、経年変化とともに愛着を増す素材を使ってほしい」。その要望を具現化にした大きな平屋は、シンプルな形の中に強い個性を感じさせる見た目に仕上がりました。北面と南面の屋根を覆うのは、レッドシダーの小さな木板。重ねて張ることで生まれた陰影と素材の自然なグラデーションが、豊かな表情をつくり上げています。
■ 家族構成/夫婦、子ども2人
■ 延床面積/174.93㎡(約52坪)
設計/(株)ATELIER O2 <Replan北海道 vol.98>
平面の移動だけで済んで部屋の行き来がラク、物置になってしまうようなムダな部屋ができにくくて暮らしやすいなど、利便性の面からも注目度の高い平屋。すべての要件を満たそうと思うと、ある程度の広さの土地が必要にはなりますが、コロナ禍の今、住む場所の選択肢も変化してきています。家づくりを検討中の方は、可能性のひとつとして平屋を検討してみてはいかがでしょうか。Replan北海道とReplan青森の最新号の巻頭特集は「平屋の暮らし」。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね!
(文/Replan編集部)
Replan北海道 vol.131
2020年12月29日(火)発売北海道内の主な書店やコンビニのほか、
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Replan青森 vol.7
2020年12月9日(水)発売
東北6県の主な書店やコンビニのほか、
Replanの販売ページやamazon、fujisan等
オンラインでもご購入いただけます。