2020年から家でデスクワークをするというライフスタイルが浸透しはじめ、「小さくてもいいから、集中して仕事ができる場所がほしい」というニーズが高まっています。室内用のテントやこもって作業できる家具、庭における小屋など、省スペースで書斎として使えるさまざまな商品が登場していますが、せっかくなら、家の一部に専用の場所があるのが理想的です。そこで今回は、設計の工夫で実現したコンパクトな書斎や趣味部屋のアイデアをいくつかご紹介しましょう。
こもるのにぴったり!
小屋裏空間(ロフト)を有効活用した小部屋
個室をつくるとなると、それなりにスペースが必要になりますが、そもそも延床面積にそんなにゆとりがないというケースも多いですよね。そこで活用したいのが、小屋裏空間(ロフト)です。
家づくりにおける小屋裏空間(ロフト)の最大のメリットは、
- 天井高を1.4m以下にすることで延床面積に参入されず、固定資産税や保険料の対象から外れる
- デッドスペースを有効活用できる
という2点ですが、天井が低いので、主には収納スペースやお子さんの遊び場などとして使われがちです。立って動作をすることを考えると大人には使いにくいものの、デスクワークは座り仕事。部屋への出入りさえ注意すれば、天井高を気にせず部屋として使えます。実際にReplanの取材先でも、屋根裏空間をご主人の書斎や趣味部屋として使っている例をときどき見かけます。
例えばこちらは、平屋で小屋裏空間を書斎として活用した例。リビング隣の図書コーナーにはしごがかかっていて、ここから出入りする設計です。壁に開いた小窓の向こうがLDKで、なんとなく階下の気配が感じられます。
家の設計によっては、それなりに広い小屋裏空間を確保できる場合もあります。断熱・気密・換気対策をしっかりして、エアコンや照明などを組み込み、長時間でも居やすい快適性や機能性を持たせれば、立派に部屋として使えますね。
書斎ではありませんが、小屋裏のデッドスペースを生かして3畳の畳敷きの小部屋を設けたこんな例も。出入り口はにじり口にして秘密基地感たっぷり。戸を閉めて個室にできるので、テレワークでのオンライン会議、作業に集中したいときだけここに移動するなど、さまざまな使い方ができそうです。
スキップフロアで生まれた
床下空間を生かした小部屋
小屋裏空間のように「天井高を140cm以下に抑えて、デッドスペースを有効活用する」という文脈で考えると、「床下空間」を利用するのもひとつのアイデアです。特に最近増えている「スキップフロア」を取り入れた住宅では、可能性を探りやすいかもしれません。
4層のスキップフロアで構成されたこちらのお住まいでは、リビング・ダイニングの下にあたる空間を、ご主人の書斎にしました。家で仕事をすることも多いそうですが、このこもり感が落ち着くそう。壁厚を利用した棚にはお気に入りのフィギュアのコレクションも並べられて、趣味も楽しめます。
間取りの工夫で
コンパクトな書斎スペースを捻出
場合によっては、間取りの工夫で書斎スペースを捻出できることも。設計の融通がききやすいのは注文住宅だからこそのメリットです。こちらのお宅は、1階にオープンなワークスペースがありますが、2階にもご主人の書斎スペースを設けました。その広さは約1帖!壁を隔てて隣にあるトイレと同じサイズ(!)です。造りつけのカウンターと壁面収納があり、引き戸を閉めれば個室にできて機能的。状況に応じて1階のワークスペースと使い分けできるのも魅力です。
ご主人の「資格取得のための勉強が落ち着いてできる書斎がほしい」という要望を受けてつくられたのは、ウナギの寝床のように細長い書斎。カウンターに加え、壁厚を利用した収納棚も造作して、書斎の機能を十分に満たしています。ここは、ご主人の喫煙室も兼ねていて、換気対策も万全。サイズが小さくても居心地の良い空間がつくれることがわかります。
間仕切り収納を使ってつくる
小部屋的空間
家のつくりによっては、小屋裏や床下に書斎にするようなスペースがない場合もあります。その場合、間仕切り収納を活用して書斎コーナーを設けるという方法もあります。マンションリノベをしたこのお宅では、リビングの一角にご主人が好きな音楽を存分に楽しむための書斎コーナーを設置。通常は壁に対して直角に置く間仕切り収納に25°の角度をつけることで出入り口が狭まり、コンパクトで個室感のある空間を実現しています。
紹介した事例はどれもご主人の書斎や趣味部屋でしたが、家族みんなで使うワークスペースや家事コーナー、奥さんの書斎やお子さんの学習部屋などとしても生かせるアイデアです。家づくりでは、テレワーク以外にもあると便利で、家での過ごし方を快適にしてくれる小部屋も検討してみるといいかもしれません。
(文/Replan編集部)