NPO住宅110番」は、住宅雑誌Replanが長年にわたって育ててきたインターネット上の家づくりのための「世論の場」です。住まいの悩みに、住宅建築の最前線にいる専門家のみなさんが回答しています。この記事では同WEBサイトに寄せられた皆さんからの投稿・アドバイスを抜粋(一部修正)しReplan誌面に掲載したものをさらに厳選してお届けします。

Q 地盤が弱い地区

質問者/北海道・kokomo
記事No.14871/カテゴリ:その他

今の住宅に住んで半年になります。雇用促進住宅です。最近気づいたのですが、建物から駐輪場を通って外に出る時に外に設置されてるポーチ?のような所が傾いているのが分かりました。建物とのつなぎ目のような部分もずれています。1985年に建てられてるので耐震的には大丈夫だと思うのですが、敷地内で傾いている所があるというのは建物自体に影響がないのか心配です。

元々地盤の弱い地区なのですが、2018年9月に起こった北海道胆振東部地震で、隣の建物は地盤が空洞になったりしています。雇用促進住宅は国で建てたものですので大丈夫かと思いますが、なにせ地盤が弱いんです。周りは一軒家ばかりですが、庭に砂利などを敷いてもどんどん下がっていき、また敷いての繰り返しみたいです。管理会社に問い合わせましたが、適切に管理しています。との回答で終わりました。

A:回答者/(株)福地建装/HQ住宅研究所 ファース本部 福地 脩悦

先般の台風で冠水した関西空港は年間少しずつ沈下しているそうです。また、東京都内の港区や江東区も町全体が沈下しつつあるといいます。軟弱地盤は、沈下することも有り得るということでしょう。問題はその地盤沈下で建造物が傾き、生活に支障がでた場合にメンテナンスが必須になります。

本件は軟弱地域でよく見られる光景です。住んだまま地盤補強するには、自分の家の周りに木杭を打ち込み(摩擦杭といって地盤密度を高くする)、補強する方法があります。また、家周辺に杭を打ち込むスペースと工事を行うための広さの確保が要件となります。現況を写真で見る限り、様子を監視する状況にあると思われます。

質問者より

関空も沈下しているのですね。あんな大きな施設でさえもそのままなら、住宅は少しくらい沈下があっても許容範囲ということなんでしょうね。ありがとうございました。

a:回答者/医王山

最近はヴィレッジハウスと言うのですかね? ご存知の通り新耐震は1981年以降ですので、本体は新耐震で設計されています。写真では何階か解りませんが、柱、梁が見えますのでラーメン構造です。入口の写真の沈下やお話から、住宅部分は支持地盤まで杭(多分)などで支えていると考えられますので、支持地盤が沈下した場合は別ですが(今まで聞いたことがないですが)、支持層と地表地盤間に空洞ができたとしても、本体の影響が少ないと言えます。

建物荷重が少ない入口などは深い支持層ではなく地表面で直接基礎として支持していて住戸部分とは別でつくられています。住居部分本体は沈下が少ないが(厳密には建物荷重で一定の沈下はします)、直接支持部分の外構や設備等の排水や配管などには影響があるかもしれません。

最近では付属部分等も、地盤改良や本体構造で支持等を考え、考慮して対策された建物となっています。管理会社は現存する施設を管理、点検、掃除などをしますが、修繕、改修は所有者の決定事項ですので、たぶん【適切に管理】という言葉となります。

質問者より

建物自体が問題ないならいいのですが、共用部分の廊下の壁とかもポロポロ落ちてきていたので心配になりました。回答ありがとうございました。


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