今はキッチンというと「対面式キッチン」を選ぶご家庭が圧倒的に多いですよね。リプランの取材先でも、ほとんどのお宅が対面式キッチンです。
ところが最近、以前よりも壁付けキッチンの素敵なお住まいをちらほら見かけるように…。そこで今回は、壁付けキッチンを採用した3軒のお住まいを通して、その間取りの魅力を探ります。
【実例1】「マンションリノベ」で壁付けキッチンの間取り
壁付けキッチンにするいちばんの理由は、なんといっても「空間を有効利用できる」こと。特にLDKの面積が限られたコンパクトなお住まいでは、無理に対面式キッチンの間取りにすると、かえって使い勝手が悪くなったり、LDKが手狭になったりする可能性があります。
こちらは、中古マンションをリノベーションしたお宅ですが、LDKに割けるスペースはそれほど広くありません。ただ、キッチンを壁付けにしたことで大きめのダイニングテーブルを置けるだけのスペースができ、ゆったりとした空間がつくれています。
キッチン上下に造作した収納スペースのほか、ガスコンロの隣にちょっとした収納があり、さらに暖簾の奥がパントリー(食品庫)になっています。パントリーに冷蔵庫や食器棚が置ける設計なので、背面収納がなくても十分に機能的ですね。
【実例2】「戸建住宅リノベ」で壁付けキッチンの間取り
中古の戸建て住宅をリノベーションしたこちらの平屋も、壁付けキッチンの間取りに。理由はやはり、ゆったりとしたLDK空間を確保するためです。
ナラ材で造作したキッチンは横に長くて、作業スペースにゆとりがあります。カウンターの下がすべて収納スペースなので、調理道具や食器はすべてすっきりと収まります。
この間取りだと、リビング・ダイニングからは若干見えにくい位置で調理することになります。ですが、ガスコンロの通路を挟んで向かいあたりに子ども室への出入り口があるので、そこで遊んだり勉強したりするお子さんの様子は感じられますし、お子さんたちもキッチンに立つお母さんの気配が感じられて安心です。
【実例3】「新築戸建て住宅」で、壁付けキッチンの間取り
あえてリビングと距離を保ち、料理に集中しやすい環境をつくりたいという方にも、壁付けキッチンの間取りはおすすめです。
こちらのお住まいの場合、お子さんはすでに家を離れ、ご夫婦2人暮らし。奥さんはお料理が好きで、集中して楽しみたいということもあり、あえて壁付けキッチンの間取りを選択しました。
シンクの前に窓があるのも大きなポイントで、目線の先には庭が見えて、四季折々の変化を感じるのも楽しみのひとつだといいます。
キッチンとリビングの間に置かれた大きなダイニングテーブルは、この場所に合わせて造作しました。サイズも雰囲気も空間に合わせられるオーダーメイドは、やはり魅力的ですね。このテーブルは、パン作りなどをするときに作業用カウンターとして使うことも想定しているそうです。
上写真左手のすりガラス入りの格子戸の奥が、キッチンへの動線を兼ねたパントリー。奥さんが希望した「隠す収納」です。ダイニングと壁で隔てられたこの空間を介して、使い勝手が良く、緩やかに独立性を持ったキッチンを実現しています。
家の間取りや住まい手が優先したいことなどによっては、壁付けキッチンも魅力的な選択肢になり得ます。ご家族の使い方やコミュニケーションの取り方など、さまざまな角度から自分たちに合ったかたちを考えて、ライフスタイルや趣向に合ったキッチンを検討してくださいね。
(文/Replan編集部)