先日の記事「お気に入りの眺望を住まいの一部に。「2階リビング」の工夫」では、比較的余裕のある敷地で、豊かな自然を楽しむ2階リビングの家を紹介しました。一方で敷地が狭い都市部では、駐車スペースを確保するために2階リビングとなるお住まいが多く見られます。今回は限られた敷地内で駐車スペースを確保し、同時に2階リビングならではの魅力を上手に生かした、合理的なプランの3事例をご紹介します。
駐車スペースは4台分!
3階建ての二世帯住宅
Oさん宅は最寄り駅まで徒歩3分、大型ショッピングモールも身近な利便性の高い住宅地にあります。土地面積はわずか42坪ながら、親世帯と子世帯を合わせて4台分の駐車スペースが必須条件でしたので、必然的に「2階リビングの3階建て」前提の家づくりになりました。
駐車スペースは、玄関前を2台分のガレージとし、建物を敷地の右側に思い切り寄せ、左側に空いたスペースに2台を縦列駐車できるようプランニングして、Oさんご家族の要望を無事にクリアしました。
2階に設けた二世帯共用のLDKは、大きな窓から陽射しがたっぷりと降り注ぎ、都市部の狭小地に建つ住宅とは思えないほど明るくのびやか。また、2階リビングだからこそ得られた勾配天井による開放感も格別です。
リビングは2階で個室は3階にありますが、ホームエレベーターを導入しているので、親世帯でも移動は楽。個室が上階に配置されているおかげで、日中どこにいても明るく過ごせます。4台分の駐車スペースという難関が導き出した斬新なプランニングが印象的なOさん宅です。
たった24坪の狭小地に
車2台の駐車場と自転車置き場
街の中心部。JRの駅からも近く、商店街も学校もある便利な場所に建っているFさん宅は、メッシュの布でラッピングされたような外観が特徴的です。24坪ほどの狭い敷地に、車2台分の駐車スペースと自転車置き場も確保するため、こちらも3階建てのプランとなりました。1階の約半分を占める駐車スペースは道路に面して2方向に開いているので、2台でも出入りはストレスフリーです。
2階にはLDKに加え、浴室などの水まわりを配置し、暮らしのほとんどが2階で完結できます。1階には玄関ホールと来客用のコンパクトな和室、3階に家族3人の個室という構成で、各階の役割をはっきりさせているので、暮らしやすさも申し分なし。植物好きのFさんは、新居に植物を置くカウンターを随所に設え、室内外にプランターや鉢で植物をたくさん並べることで庭をつくって、2階リビングならではの方法で緑を楽しんでいました。
プライバシーを大切に。
2台分のビルトインガレージがある家
職場の隣に新居を構えたHさんご夫妻。Hさんの職場には常にお客様が出入りし、反対側の隣は保育園で、住宅街ながらも人や車の往来が多い住環境でした。そこで、新居はプライバシーの確保と敷地の裏側にプライベート庭をつくるためビルトインガレージ+2階リビングのプランを選択。ビルトインガレージは防犯対策にもなり、除雪の負担も軽減できるので楽です。
ガレージはそのまま広い玄関土間とつながり、2階リビングへ直行できるとてもシンプルな動線。約27帖の広々とした2階リビングは、くつろぎの場所です。斜め天井を生かした吹き抜けや庭を楽しめるバルコニーのおかげで、より開放感ある空間に仕上がっています。1階には水まわりと寝室があり、毎朝の身支度などは1階だけで完結します。プライバシーに配慮した2階リビングのプランは、使い勝手も良い合理的なつくりになっていました。
本記事でわかるように、都市部での2階リビングは、敷地や周辺環境のさまざまな制約をクリアするために採用されるケースが多いです。しかしどの事例も、ただリビングの位置を2階にしただけではなく、その中で駐車はもちろんのこと、最大限の暮らしやすさを追求していることがわかります。敷地の条件にかかわらず、プランニングの力で最適な形を導き出せるパートナー探しが、家づくりでは大切ですね。
(文/Replan編集部)