「土地探しのとき、何が一番大事?」という質問に対する答えは、ご家族によってさまざまだと思います。最寄駅へのアクセスを含んだ「通勤・通学の利便性」、閑静な住宅街・商業施設や飲食店が多い地区といった「エリアの特徴」、スーパーやホームセンターなどの「買い物の便利さ」、希望するプランを実現するための「土地の形や面積」などなど…。
その中で高い優先順位をつける方が多い条件のひとつが、森や海などの豊かな自然、近隣の公園や街並みを楽しむ「眺望」です。今回はその眺望を最大限に満喫するために、「2階リビング」のプランを選んだ3つの事例をご紹介します。
吹き抜けの10連窓で
羊蹄山を一望できる家
Nさんご夫妻は、ニセコでの家づくりにあたり、羊蹄山がきれいに見えることを必須条件に土地を探しました。数年かけて手に入れた581坪の広大な土地は、クセのある傾斜地。設計・施工を担当した工務店では、その傾斜を上手に生かしつつ、羊蹄山の贅沢な眺望を楽しめるよう、3階建ての2階リビングのプランを提案しました。
いつでも明るい光が降り注ぐ2階リビングの東側には、10枚の窓が並ぶ大開口があります。その窓からはまるで絵画を切り取ったように羊蹄山の美しい姿を堪能できます。そして、Nさん宅は45度回転させた屋根の形が特徴的です。その形のおかげで、東側に窓を集中させながらも、天井まで伸びる吹き抜けが実現。さらに開放感が増します。理想の景色を最高に形で手に入れたNさんご家族の新居は、実に絵になります。
田園風景を望む方向に
大きく開いた木の家
東京から北海道東川町へ移住して11年が経つOさんご夫妻。「田んぼや山並みが広がる景色が、美しくて雰囲気がよくて気に入ったから」というのが、移住先として東川町を選んだ理由でもあります。1年ほど時間をかけて、お子さんの通学区や日常生活の利便性も考慮しながら、豊かな眺望も楽しめる土地を探したご夫妻は、そのロケーションを最大限に生かせる「2階リビング」の住まいを完成させました。
Oさん宅の2階は、LDKのみ。仕切りのないワンルームで、大きな連続窓からは上川盆地の景色を全面に感じ、周囲と一体感のある空間となっています。2階の天井は特殊な構造により柱や梁がまったくないので、開放的な雰囲気はいっそう高まります。西側にはテラスが設けられていて、田んぼを渡ってくる風を感じながら眺望をひとり占めできます。Oさんご夫妻が夢見た「季節の移ろいを感じられる北海道らしい暮らし」が、2階リビングの新居で叶えられています。
高台から街並みと
海の景色を望む家
眼下にはフェリーが行き交う港や街並み、そして対岸には山の絶景が広がる眺望に魅了され、土地の購入を決めたSさん。しかしその土地は、1/3を崖が占めるうえに間口も狭く、建築可能面積が限られた土地でした。そこで建築を依頼された建築家が提案したのは、コンパクトがらも開放感があって、お気に入りの眺望も満喫できる「2階リビング」のプランでした。
2階に配されたリビングは、細長いながらも眺望の良い北側一面が出窓になっているので、視界いっぱいに景色が広がります。出窓に寝そべり外を眺めると海の上に広がる雲と目線が揃い、まるで雲の上に乗っているかのような不思議な感覚を味わうこともできるそう。また、リビングを2階に持ち上げロフトを設えたおかげで、十分な天井高も確保でき、面積以上の広がりも感じられます。窓越しの太陽光を浴びて輝く絶景が、Sさんご家族の暮らしを美しく彩ります。
家にいる時間の多くを過ごすリビング。そのリビングから、四季折々に変化するお気に入りの景色を楽しめると、暮らしはもっと豊かになります。もちろん都市部と郊外では敷地条件が異なりますが、2階リビングのような周囲の景色を上手にとり込むプランの工夫はできるはず。家づくりを考えるときは、せっかくの眺望を見逃さない、外のこともきちんと考えたプランニングが大切です。
(文/Replan編集部)