「薪ストーブのある家づくりをしよう!」と思っても、いざ考え始めると「どんなことを気にしながら進めていけばいいんだろう…」と悩んでしまいませんか? そこで今回は、薪ストーブのある家づくりを数多く手がける北清建設代表の相澤裕二さんに、最初に考えるべきポイントを伺いました。
「土地選び」と「家の配置」でご近所トラブルを防ぐ
薪ストーブのある家を建てる場合、実はプランニングの途中から導入しようとしても、いろいろとうまくいきません。というのも「土地選び」からすでに、薪ストーブの使用を想定する必要があるからです。
薪ストーブを入れようと思った時に気になることの一つは、「煙」ではないでしょうか。煙の問題は、ご近所トラブルの原因にもなりかねないので、土地の特徴や家の配置をきちんと考えることが大事です。
今までに40棟近くの薪ストーブのある家づくりを手がけてきましたが、薪ストーブの煙は冬の気象条件から、たいてい北風が吹きます。ですので、煙がなびく南側に高い建物がない土地を選んだり、南側の家が近い場合は、少し距離を空けて家を配置したりすることが大切です。もっとも、煙が出るといっても正しく乾燥させた薪を正しく焚いていれば、ご近所トラブルを招くことはほとんどありません。臭い煙や灰が出てしまうのは、生乾きの薪を焚いたり、何かしら焚き方が悪かったりするのが主な原因と考えていいでしょう。
また敷地内には、少なくとも1シーズン分の薪をストックできる「薪棚」を設ける必要があります。ある程度自分で薪割りをするなら、薪割りの作業スペースも必要になるので、それを考慮した広さの土地があるといいですね。
薪のことを考えた「家の配置と動線」が、鍵
薪棚の話をしましたが、より快適な薪ストーブ生活には、薪のことを考えた「家の配置と動線」がとても重要です。
まず、薪の搬入路の確保。薪の調達方法は、家ごとにさまざまです。軽トラックなど自家用車で運び込む家もあれば、業者に依頼して4tトラックで配達してもらう家もあると思いますが、いずれの場合もそれぞれの状況にふさわしい環境をつくることが大事です。車の駐車スペースと薪棚、薪割りをする場所が近いと、作業がよりはかどります。大量の薪を積み下ろしたり運んだりするのは、労力が要ることなので、これはけっこう重要なポイントです。
もう一つは、家の内外をつなぐ動線の確保。薪ストーブを使う季節は主に冬です。寒さが厳しい真冬ほど、薪を運び入れるために外と中を行き来する機会が増えるので、薪棚と薪ストーブのある場所との動線がスムーズであることがとても大事です。
何でもそうですが、道具は使いづらいと手が出なくなるもの。薪ストーブは寒い季節には毎日使う暖房です。ストレスの少ない環境をつくることで、無理なく快適に使い続けることができるでしょう。
このように薪ストーブは、暖房器具としてはちょっと特殊で、プランニングの時から考慮すべきことがたくさんあります。特に、薪ストーブを「メイン暖房」として日常的に使いたいと考えているなら、薪ストーブのある暮らしの実態をよく知っていて、薪ストーブ専門店と協力してプランニングをしてくれる、設計や施工の実績がある程度豊かな設計事務所や住宅会社を選ぶことをおすすめしたいですね。