先日「帰ってすぐに「ただいま手洗い」!玄関近くに洗面台の家いろいろ」と題した記事で、新型コロナウィルス感染予防がしやすい家の間取りの工夫をご紹介したところ反響をいただき、なかには「家を建てたくなった」という声も。最近は感染対策への意識の高まりで、建築会社さんとプランを打ち合わせ中のお客さんから「玄関の近くに洗面台を置きたい」という要望が多く聞かれるようです。
玄関の一角に手洗い専用の洗面台を設けてもいいですが、その分コストがかかりますし場所も取るので、できれば用途を兼ねたいですよね。実際にこれまでのリプランの取材先で、玄関近くに洗面台のあるお住まいを見ると、ほとんどが用途を兼ねています。そこで今回は、「どのように用途を兼ねているのか」に注目して、なかでも特に多い2パターンの「ただいま手洗い」の間取りをご紹介します。
トイレの手洗い器を、トイレの外に出す間取り
「ただいま手洗い」の間取りの特徴のひとつは、「トイレが玄関の近くに配置されている」こと。手洗い器をトイレ内に併設するご家庭が多いですが、それをトイレの外に出すことで、帰宅してすぐの手洗い場として使えます。
地場の木材をふんだんに使った大屋根の外観デザインが目を引くこちらのお住まい。玄関に入ると正面には、異なる樹種の板を張って仕上げたアクセントウォールが見え、その裏手にトイレ用の手洗いスペースを配しています。コンパクトでも手洗い・うがいをする場所があるのは安心です。
設計/(有)ササキ設計 <Replan東北 vol.64掲載>
こちらも、同じくトイレの手洗い器を外に出した間取りです。このお宅は住宅に事務所を併設した職住一体の家なので、事務所で作業していてちょっと水を使いたいときにも便利そうです。手洗い器をトイレの外に出す場合は、ご紹介した2事例のように玄関から丸見えにならないよう配慮した設計が多いですね。
設計・施工/(株)国木ハウス <Replan北海道 vol.127掲載>
洗面化粧台を、玄関近くに配置する間取り
玄関と洗面台が近いレイアウトでもう一つ多いのが、洗面化粧台が玄関の近くにあるパターン。帰ってからの手洗いやうがいも、日常的な洗顔や歯磨きもこの1ヵ所で済み、効率的でコストパフォーマンスが良い方法です。
規則正しい四角のなかに、玄関・LDK・ユーティリティ・寝室・ウォークインクローゼットを配置したこちらのお住まいは、各部屋を回遊できる機能的にまとまった間取り。シューズクロークにはコート掛けも備えてあるので、帰ってきて上着を吊るし、靴を脱いで洗面台へ、とスムーズに行くことができます。また洗面台はトイレの真横なので、トイレ後の手洗い場にもなります。
設計・施工/(株)北海道ハウジング <Replan北海道 vol.125掲載>
2階LDKの間取りのこのお住まいは、1階に寝室と子ども室、水まわりがあります。玄関に入って左手、廊下を挟んで正面に家族で使う洗面化粧台。子ども部屋の手前に位置し、学校から帰ったお子さんも手洗い・うがいがしやすいレイアウトです。
設計・施工/トピカ <Replan北海道 vol.127掲載>
手を洗わないとLDKへ入れない!?2WAYの間取り
かなり珍しいですが、上で紹介した2つの要素を併せ持つお住まいも。玄関からLDKまでが2WAY動線のこの平屋は、シューズルームのほうからLDKへ行く途中に洗面化粧台、玄関から廊下を通る場合はトイレ用の手洗いスペースと、どちらを通っても手を洗う場所があります。「手洗い」目線の間取りとしてはパーフェクトですね!
設計・施工/(株)岡本建設 <Replan北海道 vol.127掲載>
このように、ひと口に「玄関近くに洗面台」といっても注文住宅の場合は、土地条件や敷地面積、ご家族の暮らし方の希望などによっていくつものパターンが考えられます。
「帰ってすぐに「ただいま手洗い」!玄関近くに洗面台の家いろいろ」の記事でも触れたように、洗面台が玄関にある間取りは、新型コロナウイルスが流行している今だけでなく、これから先の風邪やインフルエンザ予防にも役立ちますし、ライフスタイルによっては散歩から帰ったペットを洗ったり、外仕事で汚れた手や道具を洗いやすかったりと幅広い使い方があります。
コストや使い勝手の良し悪しなど、家づくり全体のバランスを取りながら、自分たちにとって一番良い方法を検討したいですね。
(文/Replan編集部)