言うまでもなく薪ストーブは暖房器具で、家の中を暖かくするという大切な役割があります。ところが実際に薪ストーブを使っている多くのご家庭では、それ以外の効果も実感されているようで…。そんな薪ストーブのある暮らしについて、北海道リンクアップの代表、唐牛宏さんに伺いました。
薪ストーブは、家族のコミュニケーションツール
家に薪ストーブを入れたいお客様は「炎のある暮らしができる」「暖かさの質がいい」などさまざまな面に魅力を感じていますが、実際に使ってみて思いがけず実感されるのは「家族や夫婦で楽しむ時間が増える」ということです。
例えば、薪ストーブで楽しいことの一つが料理。家族みんなで下ごしらえをして、薪ストーブで料理して、でき上がりを一緒に待つ。私は、薪ストーブ料理は、男料理だと思っているので、特にご主人がやることをおすすめしています。火の中から鍋やスキレットを取り出すのは、腕の長い男性の方がより安全ですし、何より火の中に手を入れて出すという作業で家族に父の威厳を示すことができます(笑)。夏の間の薪割りを、お子さんに手伝ってもらうのもいいですね。庭で親子で一緒に汗を流す経験は、かけがえのないものです。人は、火のあるところに集まるもの。なんとなく薪ストーブの前に家族が集まってきて、一緒に過ごす時間が自然と増えます。
「薪ストーブを入れたい!」と、奥さんがご主人を説得
一昔前までは、薪ストーブというといわゆる「男の遊び道具」という認識で、ご主人が奥さんを説得しようとするも、「贅沢品だし、あまり実用的でない」と思われていたふしがありました。でも、ここ7、8年でしょうか。奥さんがご主人をお店に連れてきて、説得するケースが増えてきています。どうして奥さんが薪ストーブに興味を持つのか。きっかけを伺うと、大半の方が知人や友人など身近な人の家に薪ストーブがあって、使っている様子を見聞きしたり、暖かさを実感したりという経験から、とのこと。身近な人の暮らしを見て、「これなら自分にもできそう、楽しそう」と思うみたいです。
ご主人の希望で、半ば仕方なしに薪ストーブを入れた場合でも、実際に使い始めると、朝早起きする奥さんの方がストーブに触る機会が多くなり、ご主人の仕事は薪割りと薪運びだけ、なんて話もよく聞きます。一度火がつけばあとは放っておけるので、意外に手間がかからないんです。
来店されたお客様に、私はまず薪ストーブ暮らしの大変なことからお話しします。真冬でも定期的に、外に積んだ薪を家の中のストーブの近くに運ばなければいけないこと、炉内に溜まった灰は定期的に掃除して適切に処理しなければならないこと、薪の調達のこと、掃除やメンテナンスのこと、火の管理のことなど…。それも含めて「面白そう!楽しそう!」と思えるなら、薪ストーブと本当に良いつき合いができること間違いなしですね。