家を建てるとなるとやはり、平屋よりも2階建てを検討するケースが多いですが、その際に不可欠なのが「階段」です。意外と知らない?「階段」の名前やかたちの記事内でもご紹介しているように、普段なんとなーく見たり上り下りしている家やマンション、アパートなどの階段も、そのつくりによっていくつかのタイプがあり、それぞれに特徴があります。
中でも、リプランの取材で「おっ?」と気になるのが「螺旋階段」。高級感や華やかさといった印象が強い方もいるかもしれませんが、家のつくりや条件によっては、有効な階段タイプです。かく言う私たちリプランのオフィスにも、らせん階段が使われています!そこで今回は「らせん階段」に注目して、そのいろいろを見ていきましょう。
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「らせん階段」とは?
らせん階段とは、らせん状にまわりながら上り下りする階段のこと。平面的に最も少ない面積で設置することができます。基本的には、階段の中心にすべての段板(踏み板)を支える柱が必要なため、鉄骨製のものが多く見られます。

らせん階段のメリットと注意点
らせん階段のいちばんのメリットは、階段のなかでは一番場所を取らないため省スペースで、コンパクトサイズの住宅でも階段を思い通りの位置にレイアウトしやすいこと。「狭小だから、できるだけ空間を有効利用したい!」という方にはうってつけです。
またらせん階段は、ほとんどが蹴込み板のない「透かし階段」で階段に余白が多いので、階段によって光が遮られることがなく、室内の圧迫感も減らせます。今は、木とスチールを組み合わせたり、ラインを細くしたりとオシャレ感のあるらせん階段も多く、インテリア性を高めることもできます。


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一方で考慮すべきポイントは、安全性。つくりにもよりますが、らせん階段は一般的に勾配が急で、実際に私たちも普段オフィスで上り下りする際、特に下りのときは慎重になります…。荷物を持っての上り下りにも注意したいところです。
らせん階段のある住まいの実例3
らせん階段は使い方次第で、空間をより楽しくしてくれる可能性を秘めています。そのことがよくわかる3つのらせん階段のあるお住まいをご紹介します。
らせん階段が、
つなぎたい場所と場所の橋渡し役
縦に横にと、緩やかにつながりながらのびのびとレイアウトされた空間をつなぐのが、オブジェのようにデザインされた、白いらせん階段。斜め上のほうの空間にせり出すように架けられるのは、スチール製で頑丈ならせん階段ならでは。つなぎたい場所と場所の橋渡し役として、この家に欠かせない存在となっています。
アトリエと住居。
それぞれにデザインの異なるらせん階段
革製のバッグや小物などを手がける作家さんのお宅には、アトリエと住居のそれぞれに、まるで対を成すような素材違いのらせん階段が設置されています。アトリエにあるのは、大工さんが苦心して造作したという一枚板を組み合わせたらせん階段。職住一体で限られた面積を有効利用できるメリットと、創作意欲を引き出すインテリア性を兼ね備えた、この家にぴったりの階段です。
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外観のデザインとも
リンクするらせん階段
この階段はちょっとイレギュラーですが、建物の1階から4階までをつないでいます。建物の奥行きが3mしかないため、階段をらせん状にして省スペース化。階段室が、外観デザインにまで組み込まれているのが特徴的です。真白い壁に、踏み板の陰影が映し出される様がとてもきれいですね。
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
一般的にはあまり馴染みのない「らせん階段」ですが、意外と取り入れている住宅があり、魅力的でもあります。先にも触れたように、安全性の点では判断が分かれるところかもしれませんが、十分な広さが確保しにくい家や、デザイン性を優先して個性を出したい場合は、選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。
(文/Replan編集部)