リプランの取材先では、土間に薪ストーブを置いた家がけっこう多く見られます。外で乾燥させている薪は土汚れや雪が付いていたり、時には虫の冬眠場所になっていたり(!)するので、半外スペースともいえる土間は重宝しますし、機能的でもあるんですね。
その土間ですが、家のなかでのレイアウトは、家の事情によってさまざまです。玄関土間を広くしたり、LDKの一角に土間をつくったり、玄関からもテラスからも出入りできる位置にしたり…。そこで今回は、玄関土間に薪ストーブを置いたお住まいの事例をいくつかご紹介しましょう。
Case1
セカンドライフを楽しむ、山小屋感のある住まい
こちらのお住まいは、玄関に入るとすぐ左手に薪ストーブがあります。玄関とLDKとの間に間仕切り壁がないので、薪ストーブで温まった空気はそのままLDKに届きます。
玄関を出るとすぐ目の前の玄関ポーチ内に薪棚があるので、夜でも悪天候の日でも気にせず薪を取りに出ることができて便利。仕事を続けながらセカンドライフを始めたSさんは、「薪ストーブの火を眺めながらコーヒーを飲むのが至福の時間」と、新たな暮らしを満喫しています。
Case2
アウトドア好きな家族が暮らす、小さな三角屋根の家
両側に住宅が迫る、わずか約22坪の小さな家。カワイイ三角屋根が目印のこのお宅に暮らすのは、アウトドア好きの3人家族です。
玄関に入るとすぐ左手に薪ストーブがあり、薪棚は玄関を出てすぐの家の側面に設置されています。玄関土間を広くすることで、薪ストーブ置き場と自転車置き場、さらには数々あるアウトドア用品の収納場所も兼用。限られたスペースの有効利用にもつながっています。
Case3
北海道への移住で叶えた、薪ストーブのある暮らし
多い時は年に3回も北海道に旅行に来ていたというYさんは、ついに北海道への移住を果たし、薪ストーブのある暮らしを叶えました。
薪ストーブを置いたのは、セカンドリビングとして使えるよう設計された玄関土間です。シンプルなデザインのソファと上質なギャッベ、壁にかけた絵が空間に温もりを添えます。薪棚は玄関を出てすぐ外にあり、大雪の日でもアクセスしやすいのが嬉しいですね。
Case4
玄関土間に「薪運び用出入り口」。
約24坪のコンパクトな平屋
こちらはちょっとイレギュラーなパターンです。「自然を身近に感じながら、のびのびと子育てがしたい」。そう望んだご夫妻が考えたのは、薪ストーブのある小さな平屋でした。
広さが限られているため、玄関土間をRC壁とドアで仕切り、RC壁を炉壁にしてLDK側に薪ストーブを設置。玄関に入ってすぐ左手に、薪運び専用の出入り口を設けることで、スムーズな動線を確保しています。玄関土間を上手に生かした使い勝手の良いプランですね。
このように玄関土間に薪ストーブを置いているお住まいには、それぞれの理由があります。特にコンパクトな家では、ちょっと広めの玄関土間が薪置き場や収納などいくつかの機能を兼ね備えることで、省スペースになるメリットが大きいようです。
ただ敷地条件によっては、玄関土間に薪ストーブを置くのが最善ではなかったり、薪を家の中に運び込むのに不便だったりすることもあります。プランニングの段階で建築家や建築会社とよく話し合って、一番良い方法を見つけてくださいね。
(文/Replan編集部)