マンションやアパートと違い、心おきなく音楽を楽しめる環境をつくれるのは、「音」に対する自由度が高い注文住宅の魅力のひとつです。リプランの取材先でも新築に伴い、趣味の音楽や映像を存分に楽しめるような工夫をした家がよく見られます。そこで今回は、注文住宅ならではの自由なプランニングで、理想の趣味時間を手に入れた3軒のお住まいをご紹介します。
リビングの音響環境にこだわり、
開放感のある大空間で音楽を楽しむ
木の香りの心地よいBさんご夫妻の住まい。高い吹き抜けのあるリビングの大空間が印象的です。この開放感あふれるリビングは、音楽を愛するBさんのこだわりが詰まった空間です。
中央に置かれた椅子で、音楽を楽しむことを想定し、壁や天井などに設置するスピーカーがすべて同じ距離になるよう自ら図面を描いたというBさん。施工会社と相談を重ねながら家づくりを進め、構造上、可能な限りの広さと高さを確保しました。
音の響きを考え、天井と壁の一部はリブ形状仕上げに。正面のステージは、ゴムマットの上に硬いレンガを敷き詰めた2層構造。硬いレンガはスピーカーの動きをスムーズにし、ゴムマットは余計な共鳴を抑える効果があるといいます。塗り壁は吸音率を高めるため、漆喰に大量の藁を混ぜ合わせて柔らかく仕上げるなど、理想の音響環境を実現するためのさまざまな工夫が凝らされています。
家の中に音楽室!
自宅でライブができる住まい
1階にオフィス、2階に家族の居住空間を設けた職住一体のHさん宅。前庭を囲み、LDKと寝室が向かい合う形となっています。
そのLDKと寝室をつなぐのが、音楽室。リビング横の廊下を兼ねたコンパクトな音楽室には、Hさんのギターコレクションやドラム、お子さんのピアノが並びます。音楽好きなHさんは、仲間と共にここでライブを楽しむこともあるそうです。この音楽室は壁ではなく、間仕切り折れ戸で仕切っているので、閉め切ることも、部分的に開け放しておくこともできます。
家に隣接する緑道側スペースを借り、自主企画による音楽祭を開催したこともあるというHさん。趣味の音楽を存分に楽しめるようになったことで暮らしにも張りが生まれ、地域とのつながりも深まったといいます。
大迫力の音と映像を堪能
シアタールームを設えた家
畜産農家で4代目となるNさん。築50年以上の実家に限界を感じ、敷地内での新築を決意しました。完成した新居は、L字形の平屋。仕事のことを考え、裏玄関や事務スペースを設けるなど機能性を高めながら、一枚板のダイニングテーブル、薪ストーブと、次々と憧れを形にしていきました。
そして20代の頃から夢見ていた一番の憧れ、シアタールームも実現。およそ13畳のシアタールームには、130インチもある巨大なスクリーンと、大迫力の音を堪能できるマルチスピーカーを備えています。こだわった甲斐あって、完成したシアタールームにはNさんも大満足。日常の喧騒をはなれ、くつろげる空間が実現しました。
「音」に自由な注文住宅だからこそ、周囲にお住まいの方々への配慮は必須。音にこだわるということは、その分、防音・遮音対策も入念にする必要があるということです。プランニングの段階から、きちんと建築家や工務店と相談しながら、心から満足できる理想の音響環境を実現してくださいね。
(文/Replan編集部)