みなさんは、家を建てるとしたら何階建てをイメージしますか。根強い人気の「平屋」、床の高さを巧みに組み合わせた「スキップフロア」、上へ上へと面積を広げた「3階建て」など、住宅にはさまざまな形があります。
その中でも今回フォーカスしたいのは、3階建て住宅。3階建てというと、「土地が狭いから高くした」といった印象が強いかもしれませんが、3階建てにする理由はそれだけとは限りません。土地の高低差や暮らし方・使い方を考慮したら3階建てがぴったりというケースもあるのです。これから紹介する個性のある4事例の3階建て住宅にも、さまざまな間取りの工夫やアイデアが隠れているので、要注目です!
※掲載方法の都合上、図面の縮尺は一定ではありませんので、ご了承ください。
狭い土地をフル活用した
車3台を収納できる家
間口7.9m、奥行き18.2mの南北に細長い形で、3方が隣家に囲まれた住宅街の小さめの土地。そんな中、「車3台を格納でき、他人の視線を気にせずに外部環境に開かれ、居心地のいい家」という希望を実現した3階建て住宅です。
1階には車庫と坪庭、物置・納戸と、とにかく収納を重視。2階にLDKを配置し、中央には最上階まで続く吹き抜けを設けています。ピアノ室や屋外テラスがあり、外のように明るく開放的な空間で、楽器や植物に囲まれながら食事をとることができます。3階は、水まわりと居室のプライベートスペース。地面からの高さに応じた配置とすることで、外と内、家族の気配が段階的に感じられる構成構成となっています。
景色を贅沢に楽しめる
傾斜地を上手に生かした住まい
羊蹄山がきれいに見える場所を探して手に入れた、580坪以上の広大な土地。その土地の傾斜をうまく使いつつ、除雪の負担は最小限にするために、大きな屋根付きのアプローチを設けた3階建てのお住まいです。
15畳分ほどの大屋根のアプローチは、公道までの除雪の距離が短くなるとともに、雪や雨の日だけではなく、陽射しの強い季節にも使い勝手のよいスペースとなっています。2階のリビングにある10枚の窓が並ぶ東側の大開口からは、まるで絵画を切り取ったように羊蹄山が楽しめます。土地の形状を合理的に活用した、個性ある形の住宅です。
3階建てで実現した
職住一体型の住まい
フランチャイズの店舗を営むご家族のためにつくられた、RC造・3階建ての事務所併用住宅です。仕事上、北側道路から南側の荷捌き所まで通じる歩車兼用の通路が不可欠だったので、1階にはその通路と、2つの事務室、倉庫などが配置されています。
ご本人と、娘夫婦と孫という家族構成のため、リビングは2階と3階の2ヵ所。間口が狭くて南北に細長い敷地だったので、リビングはどちらも日射を考慮し、南側に配置されています。2階の応接室兼リビングの隣に配したダイニング・キッチンが、ご家族の団らんの場です。3階はテラスに対して大きく開かれていて、自然光が階下に注ぎ込みます。仕事場としての使い勝手と暮らしの心地よさが、バランスよく調和している住まいです。
お互いに程よい距離感を保てる
3階建ての広々二世帯住宅
元々、築40年を超える二世帯住宅だった家を建て替えし、3世代6人家族でもゆったりと暮らせる広々とした二世帯住宅の事例です。
世帯ごとの居住空間を心地よく過ごせるよう、お互いの存在がストレスなく感じられる空間構成が意識されていて、玄関ドアはそれぞれ分けていますが、室内では階段で両世帯がつながっています。1階は親世帯、2階は子世帯と、平屋感覚での使い方がベースとなっていて、家族数の多い子世帯は、予備室や納戸を設えたコンパクトな3階を活用するプランとなっています。
このように3階建ての住宅には、3階だからこその使い方や魅力があるように思えます。みなさんも「3階建ては無理」と最初から決めつけるのではなく、敷地の条件なども含めて、選択の幅を少し広げてみると、また違う形で家づくりが動き出すかもしれませんよ。
(文/Replan編集部)