フィンランドでは夏になると、家で使うラグ(じゅうたん)を自分で洗う習慣があります。そしてヘルシンキの海のそばには、「マットライトリ」というじゅうたん専用の洗濯スペースがあります。「マット」はフィンランド語でじゅうたんやラグ、「ライトリ」とは桟橋の意味。ここに洗濯用具を持ってきて、海水を使ってマットを洗うのです。
フィンランドの家庭にとって、マットは欠かせないアイテム。リビングや寝室に敷くことが多く、サイズは家によって大小さまざまです。一人暮らしの学生でも、マットは必ず持っています。色鮮やかなペルシャじゅうたん、シンプルな無地のマットなど、それぞれお気に入りを大事に使っています。
フィンランド人の彼女が「マットライトリ」で洗っているのは、おばあちゃんから譲り受けたというマット。「マットライトリ」を使うとなると、畳1枚分か、それよりひと回り小さいくらいのサイズが洗いやすそうです。
洗い方はシンプル。マットをテーブルの上に広げて、バケツで汲んだ海水で洗います。すすいだあとはローラー式の脱水機で水をよく切ります。そのあとしばらくその場に干して自然乾燥させ、家に持ち帰って自宅の外にあるマット干し場でさらにしっかり干して終了。フィンランドは空気が乾燥しているので、すぐに乾きます。
「海水を使って大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、フィンランドの海は塩分が低いので、洗う水としては問題なし。使う洗剤にルールはありませんが、みんな環境に配慮されているものを使っています。
こちらは、マットを洗うのに使う松の洗剤とブラシです。
街なかのコインランドリーには、マット専用の洗濯機があります。右側は鍵をかけて24時間かけて干すことができる乾燥専用の空間です。写真は友人が洗ったときのもの。マットの大きさは2帖分ほどでしょうか。最近はドライクリーニングに出す人も多いそうです。
フィンランド家庭では玄関で靴を脱ぐのが普通なので、汚れ方は日本と大差ないはずですが、夏にマットを洗う習慣は、フィンランド人の生活にしっかり根づいています。
「マットライトリ」については、実は今回初めてここの使い方を知りました。私もいつかマットライトリでの洗濯に挑戦してみたいと思います。でもその前に、わが家には玄関マットしかないので、まずは素敵なマットを買わないと…!