6月4日(火)〜6月23日(日)に旭川で行われた「バウハウスと旭川」展と、7月3日(水)まで東川で行われている「バウハウス展 -織田コレクションから- 」を同日に巡る。

1919年にドイツのワイマールに創られた先進的な総合芸術の教育機関バウハウス。1933年に閉校するまで14年間という短い期間でありながら、その活動は今なお世界各地の建築、デザイン、芸術全般に大きな影響を及ぼし続けている。

1972年に旭川市に開校した東海大学旭川キャンパス(芸術工学部)も、バウハウスの教育理念をモデルにした学校のひとつ。短大、大学、大学院とその体制をと整えながら、有為の人材を世に送り出しました。「バウハウスと旭川」展は、そのふたつの大学の歴史を振り返りながら、生み出されたプロダクトや輩出したクリエイターなどを紹介するもの。

歴史を追いながら資料(プロダクツの実物)を見られる

バウハウスの歴史を追いながら、実際にその時代に生み出された椅子などの製品を見ることができ、双方の歩みを体感することで理解が深まるしかけに魅了される。

東海大学旭川キャンパス出身のクリエイター紹介のパネルでは、Replanでも度々作品を紹介している建築家や、誌面・WEBづくりを一緒に行っているクリエイターの顔も並び、豊かな人材を世に送り出す教育機関の存在意義を改めて感じることができた。

旭川市では「ものづくり系」の学部を擁する公立大学の設計計画が進んでおり、ふたつの大学の歴史や理念から提示されるものづくりの教育のありかた、それを問いかけるこのような展示が、未来に良いかたちの影響を与えることだろう。

折り紙建築ワークショップでバウハウス校舎を作成

Replanでもエッセイ「世界の名品・定番品 その愛される理由」を依頼している織田憲嗣氏。東海大学名誉教授であり東川町文化芸術コーディネーターの氏が持つ「織田コレクション」は、名作椅子1350種類をはじめ、テーブルや照明、テーブルウェアなど約8,000点にも及ぶ。

東川町複合交流施設せんとぴゅあで行われている「バウハウス展 -織田コレクションから- 」は、バウハウスで教鞭を取ったデザイナーや、卒業生による家具、照明、ガラス器のほか、織田コレクションの中でもごく貴重なものが展示されている。

織田氏の所蔵する名作椅子の数々。実際に使われた様子がうかがえる

会場は旧東川小学校を活用した文化施設で、一般市民に開かれている場所のため、普段デザインや建築に能動的に触れる機会がない人でも気軽に訪れることができる。そのような場所で「本物に触れる」ことで、未来を生きる子どもたちにもそのエッセンスが受け継がれていくのではないだろうか。

キッチンクロック。日用品の中にこそ用の美がある

今年、その創立から100年目となったバウハウス。各地で記念イベントが行われており、改めてその活動の及ぼした影響とそこから生み出されたプロダクツ、デザインの数々に触れる良い機会となりそうだ。

(文/Replan編集部)