工務店、建築家、ハウスビルダー、ハウスメーカー…。家づくりを依頼できる会社の種類は実はさまざま。WEBサイトや雑誌などで各社が得意分野やデザイン力・技術力をアピールしているので「いざ家づくりをはじめようとしても、どこに頼むのが一番いいのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。ここではそんな家づくりの依頼先について、リプランでよくご紹介している工務店、建築家、ハウスビルダーを中心に、それぞれの特長や、何を強みにしているのかを見ていきましょう。
敷地や周辺環境を
深く読み解き、
トータルなデザイン力に秀でる「建築家」
設計者や建築士とも呼ばれる、個人または組織で設計・監理を行う専門家。国家資格の建築士免許を持っていることで、家づくりに関する設計図書の確認申請などができます。主に住宅を設計する建築家は、それぞれでデザインの傾向や取り入れる住宅性能について深く独自の知識を身につけていることが多いため、自分たちの好みにあった建築家を選ぶことが大切であり、それが醍醐味でもあります。
また、変形地や傾斜地、狭小住宅といった難ありの条件下で実力を発揮するのも建築家の得意とするところ。さらにインテリアや造作家具なども含めたトータルデザインに長けているのも特長のひとつです。なお、建築家に設計を依頼する場合は施工業者を別途見つける必要があるので、自分で探すか、または建築家に相談すると良いでしょう。
軽やかなフットワークと
柔軟な対応が強み。
地域に根ざし、
アフターメンテナンスも安心の「工務店」
施工会社や地域ビルダーとも呼ばれる住宅会社。設計から施工までを一貫して手がけます。エリアをある程度限定することで、家づくりのはじめから完成後までのケアも大切にできることが強みといえるでしょう。北海道と東北では特に、住宅性能の知識について勉強熱心な会社が多く、高断熱・高気密やパッシブデザインに対する造詣が深くて技術力の高い会社がたくさんあります。
また地域に根ざしていることで、地元の木材などを積極的に活用したり、大工をはじめとする地元の職人を専属で抱えていたり、造作家具を得意としたりと、その土地ならではの売りをもっているのも特長。会社の規模は小さいところが多いですが、その分フットワークが軽く、家づくりに対しての要望を細かく聞いてくれるメリットもあります。
建築家とハウスメーカーの
良いところを併せ持つ
バランスの良さが魅力の「ハウスビルダー」
建築家とハウスメーカーの良いところを持ち、地域・エリアに根ざした家づくりを行っている住宅会社をリプランでは「ハウスビルダー」と呼んでいます。会社としての規模はさまざまですが、設計と施工の一貫した管理体制や、竣工後のアフターケアに対する体制といったメーカーとしての側面と、注文住宅のプランニングにおけるデザイン提案や素材使いなどの多彩さといったデザイナーとしての側面の両面をバランスよく持っているのが特長です。
住宅性能に対する保証はもとより、自社開発やメーカーとの提携によって、独自の建材や設備などが用意されていることもあり、性能とデザインを両立させた家づくりを安定供給できる点もハウスビルダーの強みといえるでしょう。
全国規模でサービスを展開。
自社工場での住宅資材の大量生産で
品質と供給が安定的な「ハウスメーカー」
テレビCMでも馴染みのある全国展開している規模の住宅メーカーを指すことが多く、大型の住宅展示場でも常連組。住宅資材を大量生産できる自社工場や自社管理の山林所有など、企業としての規模も大きいのが特長です。注文住宅のほか、企画型住宅などの自社ブランド商品を持ち、住宅の品質と供給が安定している反面、条件のよくない敷地や予算交渉に対しては不向きな傾向があります。
分譲戸建て住宅を販売し、
年間棟数が1,000戸を超える
建売住宅会社「パワービルダー」
主に分譲戸建て住宅を手がける建売住宅会社のうち、年間棟数が1,000戸を超える規模の会社のこと。生産効率を高めることと、住宅資材や土地などの大量購入によって、土地と建物をセットでかつ比較的安価で販売できるのが強みです。工期が短いことを売りにする会社も多く、立地条件や予算が合致する場合は良いですが、規模やデザインが画一的なので、デザインや性能にこだわりが強い人には向いていないかもしれません。
Replanの取材のなかでは「依頼先にこんなに種類や違いがあるなんて、知らなかった」という声をよく聞きます。一般的には、メディア露出が多く住宅展示場があって様子がわかりやすいハウスメーカーを家づくりの取っ掛かりとする方が多いようですが、自分たちの思い描く家を叶えるために、途中で建築家や工務店、ハウスビルダーに依頼先を変更したというお施主さんも少なからずいるようです。
自分たちの暮らしに合わない家を建てては、元も子もありません。各依頼先の特長を知って、自分たちに一番ふさわしい選択をしてくださいね。
(文/Replan編集部)