太陽光の買取価格低下!家と車で自家消費を
現状では儲かっている太陽光発電ですが、今後は余剰電力の買取価格が低下していくため、売電の金額は徐々に小さくなっていくと予測されます。売電が儲かりにくくなる中、昼間に空調や給湯設備を稼働させたり蓄電池を利用したりして、太陽光発電の自家消費の割合を増やしていくことが求められます。
電気自動車が普及していけば、昼間に太陽光発電で充電することで車の燃料費まで含めたゼロエネ化・ゼロコスト化が可能になります。エネルギー媒体が電気に集約していく中で、エネルギーのつくり方・使い方の自由度は大きく広がっています。自分の敷地や建物でエネルギー自給率をあげていくことができれば、今後のエネルギー価格の変動リスクを受けることなく、安心してその土地と家に暮らしていくことができるのです。
家と車のエネルギーコストは低所得世帯にこそ厳しい!
景気の低迷が長引く中で、生活コストの節約は従来以上に重要になっています。図8に、世帯所得別の住宅と車のエネルギーコストを示しました。所得には何倍もの差がありますが、エネルギーコストの差はさほど大きくありません。お金がないからといって住宅や車のエネルギー消費を減らすことは困難であり、低所得の世帯ほどエネルギーコストが家計を大きく圧迫していることがうかがえます。
省エネルギーは、地球温暖化防止という「大義」のためだけに大事なのではありません。省エネは省コストとほぼ同じことですから、省コストによる生活防衛にもつながる「身近」な課題ということを忘れないでおきましょう。
ゼロエネをゼロコストに。健康快適な生活を末永く
石炭は19世紀の産業革命、石油は20世紀の大量生産消費社会を生み出しました。化石燃料の大量消費は便利な生活を提供してくれましたが、一方で地球環境の悪化をまねき、日本や地域の経済を疲弊させてきました。21世紀の現在は、その大きな転換点のただなかにあるのかもしれません。
家はその土地に何十年も建ち続けます。今この時だけでなく、将来のことも見越してエネルギーやコストを考えておきたいもの。生活のゼロエネ化をゼロコスト化につなげることで、石油などのエネルギー価格の変動に振り回されず、健康快適な暮らしを末永く、日本中のどの地域でも守っていきたいものですね。
※次回のテーマは<夏を涼しく暮らすコツを考えよう>です。
【バックナンバー】
vol.001/断熱・気密の次の注目ポイント!蓄熱大研究
vol.002/暖房の歴史と科学
vol.003/太陽エネルギー活用、そのファイナルアンサーは?
vol.004/「湯水のごとく」なんてとんでもない!給湯こそ省エネ・健康のカギ
vol.005/私たちの家のミライ
vol.006/窓の進化
vol.007/断熱・気密はなぜ必要なのか?
vol.008/冬のいごこちを考える
vol.009/電力自由化! 電気の歴史を振り返ってみよう
vol.010/ゼロ・エネルギー住宅ZEHってすごい家?
vol.011/冷房を真面目に考えよう
vol.012/ゼロ・エネルギーハウスをもう一度考える
vol.013/冬の快適性を図る指標「PMV」を理解しよう!
vol.014/エネルギーと光熱費最新事情
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