PMVゼロは当たり前 上下温度差を見逃すな
図12に低断熱・低気密住宅+ストーブ、図13・14に高断熱・高気密住宅+エアコン、図15は超高断熱・高気密住宅で無暖房の例を示しました。いずれもPMVはゼロで体全体の熱バランスはとれているわけですが、赤外線カメラで見た周辺の表面温度分布は全く違うことが分かります。また空気温度の分布から、低断熱・低気密では上下温度差が非常に大きく、足元が寒くて不快な空間であることと判断できます。逆に高断熱・高気密を極めると、あらゆる温度ムラがほとんどない異次元にノッペラな温熱環境が出現することをしっかり見ておいてくださいね。
このようにPMVは重要な指標ですが、この指標が示す体全体の熱バランスだけで温熱環境の快適性は論じることはできません。他の局所不快も含めて、複合的に環境を評価することが肝心です。そして設備のチカラに初めから頼るのではなく、建物の断熱・気密をまずしっかり確保することが、真に快適な環境をつくる近道であることを、今一度しっかり理解しておきましょう。
※次回のテーマは<エネルギーと光熱費 最新事情>です。
【バックナンバー】
vol.001/断熱・気密の次の注目ポイント!蓄熱大研究
vol.002/暖房の歴史と科学
vol.003/太陽エネルギー活用、そのファイナルアンサーは?
vol.004/「湯水のごとく」なんてとんでもない!給湯こそ省エネ・健康のカギ
vol.005/私たちの家のミライ
vol.006/窓の進化
vol.007/断熱・気密はなぜ必要なのか?
vol.008/冬のいごこちを考える
vol.009/電力自由化! 電気の歴史を振り返ってみよう
vol.010/ゼロ・エネルギー住宅ZEHってすごい家?
vol.011/冷房を真面目に考えよう
vol.012/ゼロ・エネルギーハウスをもう一度考える
vol.013/冬の快適性を図る指標「PMV」を理解しよう!
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