冬の寒い身体を芯から温めたり、家族でコミュニケーションをとれたり、サウナはフィンランドでは欠かせない存在。家にはサウナがあるのが普通です。マンションで各家庭にサウナがない場合は、住民全員が使える公共サウナがあります。
ヘルシンキには、2018年に新しくオープンした公共サウナがあります。「ウーシサウナ UUSISAUNA」です(サイトには日本語の説明もあります)。「ウーシ」とはフィンランド語で「新しい」という意味。ヤトカサーリという場所、マンションが立ち並ぶ新しい住宅開発エリアにあります。
赤い扉が印象的なロッカールーム。マリメッコのタオルを借りることができます。上の薄い布は、サウナのベンチに座るときに敷くものです。
サウナルームの定員は15名、つめれば20名ほど入れるとのこと。空間は照明が暗く、落ち着いた雰囲気です。背中に熱くならないように木の板が立てかけられています。ウッドサウナは男女別になっていて裸で入ります。温まったら外に出て冷たいシャワーをあびる、または外で涼んで、冷えたら戻って温まるというのを繰り返します。
サウナにはいい雰囲気のレストランバーがあります。もちろんサウナに入らなくて、コーヒーや食事だけでもOK。このウーシサウナを管理、運営しているのはKimmo Helistö(キンモ・ヘリスト)さんです。サウナの準備をしながら、サウナへの想いを熱く語ってくれました。
「1920年代初めから60年代終わり頃までは、ヘルシンキの街中にはたくさんの公共サウナがありました。以前は家にはきちんとしたシャワーがない人が多く、みんな週1、2回は公共サウナに通っていたのです。キッチンで冷たい水は使えたのでしょうけど。」
「やがて住宅事情が良くなると公共サウナの需要は減って、ほとんどの古い公共サウナはクローズしてしまいました。1920年代から続いている公共サウナは、ヘルシンキで2か所のみです。このウーシサウナは、それ以降のヘルシンキで初めてつくられた新しい伝統的なスタイルの公共サウナなんです。ウッドペレットを使用しているのもこだわりです。素敵なバーとレストランを同時に提供して、木を燃やす伝統的なサウナを忘れず残していきたいのです。」
キンモさんにお願いして、普段は見られない熱源のウッドペレットがあるバックヤードを見せていただきました。
ペレットが必要な時に自動的にパイプを通じてサウナストーブに供給されるようコンピューター制御されていて、手動で薪をくべる必要がありません。ちなみに、普通の家庭用のサウナの熱源は電気を使っています。フィンランドで公共サウナが廃れてしまった経緯は、日本の銭湯のそれと似ている気がします。そんな公共サウナも今や新しいカルチャーとして人気が復活。友達同士で仕事帰りや休日に楽しむこともよくあります。ヘルシンキでは続々と公共サウナがオープンしていて目が離せません。