家づくりについて情報収集しているとき、「スキップフロア」という言葉をよく耳にしませんか?なんだか楽しそうな(!)雰囲気のネーミングですが、その名のとおり「跳ねる」ように、床面に段差を設けてリズミカルな空間をつくる。それが「スキップフロア」です。床面のレベルが違うことで空間に立体感が出て、暮らし方にも変化が生まれやすいアイデアのひとつといえるでしょう。今回はそんなスキップフロアのある家づくりで知っておきたい、メリット・デメリットについて考えていきます。
◎メリット1:敷地がコンパクトでも、空間を有効活用できる!
1フロアの床面に段差を設けることで、空間を立体的に活用できます。たとえば平屋のプランで中2階をつくると1層分の床面積が増える、というとわかりやすいかと思います。また、スキップフロアでは階段によって緩やかに空間を区切れるため、間仕切りや扉を使わずに生活シーンに合わせた居場所をつくれます。
◎メリット2:上下につながる空間で、視覚的な広がりが生まれる!
天井をつくらずに上下の空間をつなげたり、高低差を利用してプランできるため、狭小や変形の敷地でも開放的なプランニングが可能になります。さらに階段による移動で、空間の見え方にも動きが生まれ、視覚的な広がりとともに暮らしの楽しさもアップします。また間仕切りが少なく、家族の気配が伝わりやすいので、安心感もありますね。
◎メリット3:段差を活用して、収納や座る場所がつくれる!
スキップフロアは、住まいの機能を充実させる側面も。特に敷地の広さがコンパクトな場合、暮らしに必要なスペースと段差を利用した収納スペースを一気につくれるのは、とても魅力的です。また、たとえばリビングと中二階のフロア同士をつなぐ階段が、大型テレビを鑑賞する格好のベンチシートとして使えるなど、アイデア次第で暮らしを豊かにできる仕掛けにもなります。
△デメリット1:プランと施工にはある程度の熟練が必要
スキップフロアは、一般的な間取りのプランニングとは異なり、複雑に重なる床の階層を考慮したつくりや、室内の温熱環境に配慮した設計が必要です。また、床面積が増えたり、階段の造作が必要だったりと施工の手間も増えます。スキップフロアを取り入れたい!という方は、適切なプランニングと施工ができるつくり手に依頼することが大事です。家づくりの依頼先を選ぶ際には、それまでの実績もしっかりチェックしましょう。
△デメリット2:快適な温熱環境を保つ冷暖房計画が必須
前述した「温熱環境に配慮した設計」がどうして必要なのか?その鍵は、スキップフロアの空間構成です。スキップフロアは、「横幅」ではなく「高さ」を生かす手法。結果、間仕切りなどの壁が少なくなります。上下にオープンな空間が増えるので、冷暖房による空気の移動=家全体の温熱環境を考えた設計が必須なのです。また同時に、住宅性能に優れ、屋内全体の温度を一定に保てる技術力のある施工業者の選定も重要です。
△デメリット3:床面積が増える分、コストが高くなる
狭小敷地や変形敷地、高低差のある土地での家づくりで特に効果を発揮するスキップフロアですが、床面積が増えることによるコストアップ、というデメリットがあります。コストアップの原因は主に2つ。ひとつは施工面積が増えた分の建築費のアップ。もうひとつは固定資産税のアップです。ただ、スキップフロア以外の箇所でコストを調整したり、建築法規を読み解いたりなど、経験豊かなつくり手は、施主の負担を軽減するアイデアや工夫にも長けているので、相談して折り合いをつけながら進めるといいでしょう。
バリアフリーにならない、掃除がしにくいなど、暮らしづらさにつながる側面もあるスキップフロアですが、実際取材でプランに上手に生かした家を見ると、どのお宅も空間に変化があって、まさに「スキップ」したくなるような豊かで楽しい暮らしぶりが感じられます。興味がある方は、どんなふうにしたら自分たちが思い描く家や暮らしの中でスキップフロアが生きるのかを、依頼先とよく相談して家づくりを進めてくださいね。
(文/Replan編集部)
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