経産省ZEHは寒冷地の電力逼迫を解決できる?
経産省ZEHの有用性を考えるには、ZEHの要である太陽光発電がどれだけ発電できるのか、そしてその発電は住宅の電気需要にあっているのか、が大事になります。そもそも発電ができなければ話になりませんし、発電できたとしてもそのタイミングが電気需要のピークと大きく外れていると需給の緩和にあまり役立ちません。
図5に、東京と北海道の電力需要の季節変化・時刻変化を示しました。参考に、晴天日の日射量の時刻変動も示しています。東京電力においては夏の8月に冷房による電力のピークが大きく発生するため、この時間に豊富な日射で発電できる太陽光発電は大いに役立っているといえます。
一方で北海道において、電力需要が最大となるのは1月であり、この時期は日射も少なく太陽光パネルも雪に埋もれて、発電がうまくいきません。また時刻変動は全体としてはフラットですが、住宅においては家族が帰宅して照明や暖房・家電を使い始める夕方がピークになりがちです。冬の短い昼間にしか発電できない太陽光発電では、この夕方の需要ピークをまかなうことは不可能なのです。温暖地では大変有効な経産省ZEHも、降雪の多い寒冷地ではその効果は限定的といわざるを得ません。
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