そもそもゼロエネは何のため?
今回は、日本版ZEHの話からはじめ、日本の「メカZEH」に対して、太陽光発電は後付けOKなれど建物性能を重視した現実的なアメリカ版ZEH、そして究極の断熱に季節間のエネルギー貯蔵まで組み合わせたドイツのパッシブハウスを紹介しました。
断熱と高効率設備・太陽光発電の3点セットは、各国共通で重要です。しかし海外との比較で日本版ZEHは想定する住環境が低く、技術的にも目標レベルが低いことには改善の余地があると感じます。そもそも、住宅をエネルギー面だけで規定し、安直にアメをばらまいて普及させようとすること自体に無理があります。まして、そのメインターゲットが実は住宅そのものではなく蓄電池かもしれない…となれば、住宅政策の目玉としてはいかがなものでしょう。
ちなみに海外では過剰な補助金は公平な競争を阻害するとされ、ヨーロッパのZEHなどは補助金よりも義務化の方向で進められています。日本のZEHの現状からは、ムチ(規制)にはなんでも猛反対するくせに、わずかな努力にすぐアメ(補助金)を欲しがる、日本の住宅産業そのものが抱える問題が透けて見えます。
ゼロエネがなぜ、どの程度必要なのか。それは目先の景気対策レベルの視野では見えてきません。結局、それは「自分たちの社会をどうしたいのか」「自分たちはどう生きたいのか」、ということに繋がるのですが、この大問題は今後の連載を通して考えていくことにしたいと思います。
※次回のテーマは<冷房を真面目に考えよう>です。
【バックナンバー】
vol.001/断熱・気密の次の注目ポイント!蓄熱大研究
vol.002/暖房の歴史と科学
vol.003/太陽エネルギー活用、そのファイナルアンサーは?
vol.004/「湯水のごとく」なんてとんでもない!給湯こそ省エネ・健康のカギ
vol.005/私たちの家のミライ
vol.006/窓の進化
vol.007/断熱・気密はなぜ必要なのか?
vol.008/冬のいごこちを考える
vol.009/電力自由化! 電気の歴史を振り返ってみよう
vol.010/ゼロ・エネルギー住宅ZEHってすごい家?
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