給料が増える中、家は高くコメは安く

それにしても戦後の電気需要のこの増大は、すさまじいとしか言いようがありません。この増大の理由は、電気の便利さだけでもなく、その値段にもあったようです。

図3に、1950年からの支出総額と物価の推移を整理しました。世帯における1ヵ月の支出総額は1950年の11,980円から高度成長を経て1970年には79,531円の7倍へ、そしてバブル経済を経て1990年には311,174円の20倍以上へと、急激に増加してきました。一方でその後の20年にわたる停滞は、長い不況の厳しさを感じずにはいられませんが…。

図3 モノの値段の上がり方はマチマチ
収入は大きく増加していますが、家賃がさらに大きく増加していることに驚きます。食料や電気の増加は3倍程度と小さくなっています。
出典:年次統計 小売物価統計調査

驚くべきは、借家の家賃です。1950年の家賃が485円と極端に安く、それこそバラックやオンボロ長屋か何かなのかと思ってしまいます。元々が安いだけあってその後は爆発的に上昇し、2010年には103,550円と実に200倍以上にまで高騰しています。住宅の質向上の裏には、こうしたコストの大きな負担増が伴っていたのです。

次に、食の根幹であるお米を見てみましょう。1950年には5キロで495円でした。当時は1人1ヵ月で10キロくらい食べていたようですから、4人家族なら約4000円。支出総額が1万円ちょっとの中で、お米だけでこれではエンゲル係数が半端ではありません。当時の生活の大変さが忍ばれます。ただしその後も増加は少なく、現在までの増加は3倍程度に過ぎません。消費量が1人月5キロにまで減少することと相まって、支出全体の中での負担は急速に減少しました。

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