熱意と技術があれば、暖かく涼しい家は絶対できる!

現在でも断熱に反対する人たちは、この結露や腐朽をよく問題にします。中途半端な「断熱だけ」住宅が危険なのは事実です。しかし、だからといって昔と同じような低断熱・低気密住宅しかつくれない、というのではあまりに進歩がありません。人類はいくつもの困難を、熱意と技術で乗り越えてきたのです。

最近では日本中で、断熱・気密の技術に熟達した設計者・施工者が活躍しています。筆者も各地の住宅を見学する中で、驚くべき性能をもった住宅に出会う機会が増えてきました(図3)。暖かく涼しく省エネになる、堂々とオススメできる本物のエコハウスが、全国に広がっているのです。

図3 断熱・気密をしっかりすれば、エアコンだけで家中ムラなく暖かい!
図3 断熱・気密をしっかりすれば、エアコンだけで家中ムラなく暖かい!
札幌市のトップランナー基準の室内です。Q値0.44、C値0.2の超高性能住宅で、断熱・気密は完璧。屋外はマイナス4℃と冷え込んでも、室内は1台のエアコンでムラなく暖めることができています。人間が体全体から穏やかに放熱できるためには、こうした空気と壁表面の温度が整えられた環境がベストなのです(FPの家 P1プロジェクト)。

とはいえ、世の中にはいろいろな設計者・施工者がいます。「断熱・気密はやってはいけない」という人もまだまだ多いのです。人生でもお金でも、人任せでうまくいくことはありません。自分で調べて大事なことを見つけ、どう実現するかを工夫する。その努力が家をつくる時も不可欠なのです。筆者はアンケートやヒアリングを通して、家を買う人が自分の欲しい家をよく理解していないこと、そして欲しい家の実現にベストな設計者・施工者に出会えていないのでは、という疑問を持ち、満足できる家を手に入れる方法を考えてみました。人任せで暖かい家はできません!

「お任せ」で暖かい家はできません!
「お任せ」で暖かい家はできません!

ステップ1:まずはモチベーションを高める

勉強でもダイエットでも、目的意識をはっきり持つことが肝心です。まずは、図4にあるような断熱・気密のメリットを知っておきましょう。断熱・気密は手段であり、それ自体が目的ではありません。しかし断熱・気密は多くのメリットがあり、なかなか他では代えが効かないことも事実です。

図4 断熱・気密をとるメリットをしっかり理解する
図4 断熱・気密をとるメリットをしっかり理解する
人によって新しい家に期待することは、違って当然。だけど断熱・気密はいわば家の「基礎体力」、結局は必要になるものです。実現したいメリットをしっかり理解して、モチベーションを高めましょう!

お金・快適・健康・環境…。そのどれか1つが大事だと思えれば十分です。その大事なことを確実に実現するため、後のステップに進みましょう。もちろんそのどれにも興味がないという人もいるでしょう。家へのこだわりは人それぞれですからね。とはいえ、後述する省エネルギー基準平成11年レベルはクリアしておいたほうが後々安心です。

ステップ2:建てたい土地の気候を知る

次に、家を建てる場所がどれだけ寒いのかを知っておきます。国が定めた省エネルギー基準では、日本中を8つの地域区分に分類しています。同じ都道府県の中でも気候は結構違います。面倒がらずに調べておくとよいでしょう。多くの家は、「温暖」な6地域に集中していると思います。

だからといって安心は禁物。先のエコハウス調査でも、「暖かい」地域ほど断熱・気密がいい加減で、室内が寒くなってしまった家がたくさんありました。さらに天気がよい地域は夜冷え込みます。イメージに惑わされず現実を踏まえて、寒さ対策をしっかりしましょう。

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