こんにちは。編集部のAOです。
先日、山形を訪れた際に、民芸品「お鷹ぽっぽ」をつくる工房へ足を運びました。お鷹ぽっぽとは、山形県米沢市笹野地区に伝わる木彫玩具で、米沢藩藩主だった上杉鷹山の名前になぞらえて、「魔除け」や「禄高が増す」縁起物として知られています。
もともとは農村の冬期の副業としてつくられた工芸品で、専業の職人がいるわけではなく、家庭ごとにその家のご主人が彫り、奥さんが売り歩く、というものだったようです。工房でたまたまお話を聞けたので、背景や歴史、今また注目されている流れなどを知ることができ、一体一体を見る目も変わりました。
お鷹ぽっぽは「サルキリ」と呼ばれる刃物で一刀彫されるのですが、羽の部分をカールさせる技術を他の民芸品でも見たことがあるな、と思って家にあったものたちを見てみると…
一番右側は福岡の太宰府で購入した「木うそ」です。お鷹ぽっぽと同じくコシアブラの木が使われており、羽の部分が幾重にもカールしています。真ん中は網走で購入した「セワポロロ」。羽ではありませんが、首の部分にアイヌの祭事に捧げ物として使われる木幣「イナウ」が飾り付けられています。イナウも木を削ってカールの束にしたものです。
日本の中で場所も由来も違うのに、近い発想や技術が続いて今に伝えられていること、不思議に思いつつ、それらに自然と惹かれる自分のアイデンティティについても考えてみたくなる冬の入口の出来事でした。